「目的はただひとつ、読む側にとってわかりやすい文章をかくこと、これだけである」
修飾の順序、句読点のうちかた、助詞のつかい方など、ちゃんとした日本語を書くためには技術がいる。発売以来読み継がれてきた文章術のロングセラー。
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1. 修飾する言葉と修飾される言葉を直結させる
わかりにくい文章の実例を検討してみると、最も目につくのは、修飾する言葉とされる言葉とのつながりが明白でない場合である。原因の第一は、両者が離れすぎていることによる。(P.28)。
この文章を、一切の言葉に変更を加えずに、機械的に位置を変えるだけでわかりやすくするためには、修飾・被修飾関係の言葉同士を直結し、入れ子をはずせばよい(P.29)。
2. 節を先にし、句をあとにする
たとえば、ここに紙が一枚あるとしよう。これを形容する修飾語をいろいろ次に並べてみる。「白い紙」「横線の引かれた紙」「厚手の紙」(中略)三つの修飾語をひとつにまとめて、「紙」という名詞にかかる修飾語を作るとき、順序はどうすればいいだろうか。(中略)「横線の引かれた」という節が、「白い」または「厚手の」という句のあとにくると、修飾は節の中の先の方の名詞(横線)だけにかかってしまう。したがって、語順の第一の原則として、ここで次のことがいえよう。①節を先にし、句をあとにする(P.44-46)。
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3. 長い修飾語は前に、短い修飾語はあとにする
「良い語順」を並べた結果、共通している要因として、次のような原則があることがわかる。②長い修飾語は前に、短い修飾語は後に。もちろん、それぞれのケースによって他のさまざまな要因もからんでくる。しかしこの原則は、物理的な単なる「長さ」だけの問題であるにもかかわらず、文のわかりやすさ・自然さを決めるための最も重要な基礎をなすものといえよう(P.55)。
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4. 状況によって漢字とカナを使い分ける
漢字ばかりでもカナばかりでもわかりにくいのだ。ということは、同じような形の字ばかり続くとわかりにくいということである。「げんだいのにっぽんぶんは」というふうに書くと、読む側はカナの一字一字を拾って読まねばならず、ひとつのまとまった意味としての「現代」や「日本文」が、全くの基礎番号としてのアルファベットに分解してしまう。(中略)漢字とカナを併用するとわかりやすいのは、視覚としての言葉の「まとまり」が絵画化されるためなのだ(P.126-128)。
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漢字とカナの併用にこのような意味があることを理解すれば、どういうときに漢字を使い、どういうときに使うべきでないかは、おのずと明らかであろう。たとえば「いま」とすべきか「今」とすべきかは、その置かれた状況によって異なる。前後に漢字がつづけば「いま」とすべきだし、ひらがなが続けば「今」とすべきである(P.128-129)。
著者紹介
本多 勝一(ほんだ かついち、1932年1月28日 - )は、日本のジャーナリストである。信州・伊那谷生まれ。元『朝日新聞』編集委員。
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