「パナマ文書」を公開した国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)のホームページ
国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は10日、タックスヘイブン(租税回避地)から流出した「パナマ文書」に関連する約21万社の会社名などを公開しました。タックスヘイブンに設立されたペーパーカンパニーは、資産隠しや税金逃れに利用されるケースがあり、リストにはロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席など、著名な指導者に関連したものが含まれているといわれています。また一部には日本の資産家の名前も掲載されているようですが、こうした租税回避地の利用は何が問題なのでしょうか。
国の指導者が資産を隠し持つことは大問題
ひとくちに租税回避地を利用する行為といっても、どの国の人が何を目的に行ったのかによって、その意味はまったく異なってきます。例えば中国は、資本の自由化を進めている最中とはいえ、政治体制としてはいまだに共産国家であり、厳密な意味では個人が資産を保有しそれを自由に移動したり処分することは禁じられています。ロシアも同様に外貨に対する厳しい規制があり、やはり自由な経済活動が制限されている国です。このような国の指導者が、海外に大規模な資産を隠し持っていたということになると、大問題に発展する可能性を秘めているわけです。今回のケースでは、プーチン大統領と習近平国家主席という国際政治のキーマンの名前が取り沙汰されていることから、全世界がこのリストに注目しています。
税務申告の内容に虚偽がなければ違法性はない
一方、タックスヘイブンは国際的な金融取引や不動産取引の中継地点として使われるケースも多く、この場合にはごく当たり前のビジネス活動に過ぎません。今回のリストには伊藤忠商事の名前がありますが、関連して出てきたペーパーカンパニーは、中国の不動産デベロッパーとの共同開発案件で使われた可能性が高いと考えられます。こうしたケースでは、日本国内で納税していることがほとんどであり、同社が適切に税務処理をしているのであれば、特に問題になるような話ではありません。
楽天会長の三木谷浩史氏の名前もありましたが、こちらも三木谷氏個人によるベンチャー企業への間接出資に使われた可能性が高く、税務申告の内容に虚偽がなければ、その行為自体に違法性はないと考えた方がよいでしょう。税の申告をごまかす人や企業は、その場所が国内であれ、国外であれ一定数存在しますから、タックスヘイブンに特有の問題というわけではありません。
ルールに則って申告したかどうかが問題
もうひとつ、タックスヘイブンが利用されるケースとして多いのは相続税の回避です。巨額の資産を保有する資産家の子息が資産を相続すると莫大な相続税が発生します。もし家族丸ごと海外に移住し、その場所に居住し続けるのであれば、タックスヘイブンを利用して相続税を回避するということは理論上可能です。こうした行為については心情的には反発する人がいるかもしれませんが、これは日本の法律が認めていることですから、法的には何の問題もないというのが現実です。
中には、日本に住んでいながら資産だけを海外に逃がして実質的に相続しているケースもあり、これを意図的に行っていた場合には脱税となります。しかし、海外への資産移転については、銀行の送金記録などから、当局はほぼすべての取引を把握することが可能です。また、生活実態が本当に海外にあるのか国税庁による厳しい調査が行われますから、世間一般でイメージされるほど実現するのはたやすいことではありません。
整理すると、タックスヘイブンを使ったかどうかではなく、ルールに則って申告したのかが問題ですから、タックスヘイブンの活用そのものはあまり重要な話ではないのです。
(The Capital Tribune Japan)
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