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「自己肯定感がない人」はこれ読んで、無条件に人をリスペクトしとけ

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「アイツって全然尊敬できるところがないよな」という人に出会ったことはあるだろうか。

「いまさら何言ってるの?尊敬できる部分がゼロのヤツらに囲まれて生きてるよ」という人も多いのかもしれない。かくいう僕も、能力の足りないオジさん管理職たちを見下してしまいがちなタチである。

そんな中で、人を見下しがちな人は実は自己肯定感が低いという話を精神科医の水島広子著『自己肯定感、持っていますか?』で読んだ。さらに、裏返しだが、人を無条件にリスペクトすることは自己肯定感を高める最良の策だという。この考え方には、人の価値観をガラッと変えるパワーがあると読みながら何となく感じ、読み終えてみるとそれは確信になった。

「どうせ私なんか」という思考にすぐ陥ってしまうネガティブに自己肯定感が低い人も、他人をすぐ攻撃してしまう一見活発だけど実は隠れて自己肯定感が低い人も、これを読んで、「無条件にリスペクト」という強力な対処法を身につけてほしい。自己肯定感が高い人が増えれば、僕自身も生きやすくなるし、世界は良い方向に変わっていくはずだ。

 

自己肯定感とは

「自己肯定感」=「自分を大切にする気持ち」と水島さんは書いている。自己肯定感が低いと、以下のような特徴をもってしまう。

  • 自分が他人よりも価値の低い人間だと感じる
  • 自分だけがどこかおかしいと思う
  • 自分など生まれてこなければよかったのではないかとすら感じる
  • 自信がなくなり、「どうせ自分なんて」と投げやりになる
  • 自分なんて、ほめられるに値しないという感覚を持っていて、人からほめられたときに素直に感謝できず、どうせお世辞だろうと考えてしまう
  • ありのままの自分をむき出しにすることは到底できない
  • 他人の言う通り、思う通り(実際に思っているかどうかは別)に動いてしまう相手中心主義
  • 物事を決めつけやすい

このように自己肯定感が低いと、自分のやることなすことに自信がなくなる。自信がなくなると、鬱がちになる。さらに個人がチャレンジしなくなると、経済成長も鈍化する。

自己肯定感の低さは個人だけでなく社会を破滅に向かわせる、根本原因の1つであると評しても言い過ぎではないだろう。

 

人を攻撃するのは自己肯定感が低いから

水島さんは「他人を攻撃してしまう裏にも、実は自己肯定感の低さが関係」していると書いている。

子犬がキャンキャン泣くのは怯えによるものだが、人が他人を攻撃するのもこれと同じ仕組みなのだろう。大型犬は自分が有意な立場にあるので吠えない。

人間の場合は社会的なメンツもあるので、立場が弱いときに「逃げられないなら、攻撃するしかない」と考える。このように、攻撃性の高さは「自分の立場が弱い」と勝手に考えてしまうところ、つまり自己肯定感の低さに由来するケースが多いようだ。

 

無条件のリスペクトとは

「◯◯」が優れているからという条件なしに、まさに無条件で、その人の存在に対して感じることができる「リスペクト」があります。

「人の良いところを探しましょう」と子供のころに教育された経験はないだろうか。

しかし、良いところが本当にない人、正確には良いところがないように自分には見える人も世の中にはいる。そこまでいかなくても、仕事の面に限定して能力が圧倒的に足りないし、これといって尊敬できる得意分野があるわけでもない使えない同僚(たいてい年上)は周りに1人はいるはずだ。

良いところが全くない人に接した時、反射的に「この人が使えない存在になったのには、過去に何か事情があったのだな」と発想してみるというのが「無条件のリスペクト」である。

そうした事情を知ると、「いろいろと大変なことがあるのに、その人なりの試行錯誤をしながら頑張って生きているのだな」という感覚を得ることができるかもしれません

これが、無条件のリスペクトです。

その事情は子供のころの生い立ちかも知れないし、いじめられたとか、友人に裏切られたとか、上司に頭ごなしに叱られたとかかも知れない。事情をうかがい知ることは難しいだろうし、わざわざ聞く必要もない。とにかく「何かがあったのだろうな」と解釈して、ありのままの他人を受け入れること。

 

自分に対しても優れたところを見つけない

他人への無条件のリスペクトがなぜ、自己肯定感を高めるのに役立つのだろうか。

それは他人に対しての考え方は、自分に対しての考え方に還ってくるからである。他人の優れているところを探そうとしない習慣がつけば、自分の嫌いな部分も正面から受け止められて、ありのままを受け入れるところから始められる。それは自己肯定感の定義の通り、そのまま自分を大切することになる。

 

無条件のリスペクト導入のコツ

能力も含めて過剰に期待しないことが、無条件のリスペクト導入のコツだろう。期待すると、それを裏切られたときのマイナスの振れ幅が大きく、「残念だな。この人はデキないな」とどうしても思ってしまう。

一つ気をつけてほしいことは、万人に対して無条件にリスペクトをすれば良いというわけではないということ。無条件のリスペクトは「何も期待しない」という仏教的な考え方に近く、ニーチェの超人的な思想とは遠いところにある。

信頼している能力の高い同僚に対しては、きちんと期待すべきだ。そうしなければチームとしての成果は望めない。無条件のリスペクトは、生き馬の目を抜く無国籍な国際社会を舞台とするようなマッチョなビジネスパーソンとは相性が合わない。強力だが使いどころが限られるのだ。