【アカデミー賞全作品】 2015.05.06 (Wed)
『フレンチ・コネクション (1971米)』
≪感想≫
いわゆる“アンチ・ヒーローもの”の先がけですが、今では世にあふれすぎて当時の衝撃は知るべくもありません。有名なカー・チェイスは良かった・・・のですが、これをパクった『ブルース・ブラザーズ』のほうがもっと凄かったので。
だいたい権力側にいる警察が、権力を笠に着て好き勝手やることに何の魅力があるのか。ダーティーハリーから太陽にほえろから。
オスカー度/★☆☆
満足度/★☆☆
『フレンチ・コネクション (1971米)』
監督/ウィリアム・フリードキン
主演/ジーン・ハックマン (ジミー“ポパイ”ドイル刑事)
フェルナンド・レイ (シャルニエ)
ロイ・シャイダー (ラソー刑事)
トニー・ロー・ビアンコ (密売人サル・ボカ)
マルセル・ボズフィ (殺し屋ニコリ)
≪あらすじ≫
N.Y.市警のやり手刑事“ポパイ”ドイルは、相棒のラソーと共に巨大な麻薬シンジケートの解明に当たっていた。彼はフランス人実業家シャルニエに的を絞るが、その強引な捜査がたたって解任されてしまう。その矢先、シャルニエの刺客ニコリに襲撃される。
≪解説≫
同年の『ダーティ・ハリー』ともども、刑事アクションものの人気を決定づけた娯楽サスペンス。年々凶悪化する犯罪への社会不安を反映して、「刑事」が西部劇のガンマンに代わる新たなアメリカン・ヒーローとして定着。
手持ちカメラを多用し、音楽やセリフを抑えるなど、犯罪と捜査の最前線をドキュメンタリーな緊迫感で描く。もともとノンフィクション小説が原作で、ドイル刑事以下は実在の人物だそうだ。
本作で花を咲かせた苦労人G・ハックマンならではの、型破りで人間臭いキャラクターが光る。人種差別も平気で口にしたりと、刑事という職業が必ずしも清廉潔白な正義とは限らないという新しい価値観は、当時画期的なものだった。
本作の代名詞になった、高架橋の列車を追うカー・アクションが迫力満点。
≪受賞≫
アカデミー作品、監督、主演男優(G・ハックマン)、脚色、編集賞の計5部門受賞。(候補8部門中)
(他の作品賞候補 『屋根の上のバイオリン弾き』 『時計じかけのオレンジ』 『ラスト・ショー』 『ニコライとアレキサンドラ』)
'60年代を席巻したイギリス勢力の影が薄れ、問題作 『時計じかけ~』 など挑発的なアンチヒーローを続々と生み出したこの'70年代。時には 『~バイオリン弾き』 のようなノスタルジーも巧みに取り入れつつ、アメリカン・ニューシネマ世代は試行錯誤しながらも前進していく。
『THE FRENCH CONNECTION』
製作/フィリップ・ダントーニ、G・デヴィッド・シャイン
監督/ウィリアム・フリードキン
脚本/アーネスト・タイディマン(原作も)
撮影/オーウェン・ロイズマン
音楽/ドン・エリス
編集/ジェリー・グリーンバーグ
ダントーニ、シャインムーア=20世紀FOX/104分
【続き・・・】
◆式典のハイライトは、「赤狩り」 でアメリカを追われていた喜劇王チャールズ・チャップリンへの名誉賞。実に20年ぶりの渡米に、会場は大きな感動に包まれた(――それは同時に、政治権力から彼を守りきれなかったアメリカ映画界の「罪滅ぼし」でもあった――)。観客の5分以上にわたるスタンディング・オベーションは、アカデミー史上でも大きなハイライトとして語り継がれている。
ちなみにチャップリンは第1回式典(1929年)でも名誉賞を受けている。この時は秀作 『サーカス』 に対する作品賞がわり。
◆主演女優賞は 『コールガール』 のジェーン・フォンダ。ベトナム反戦運動の急先鋒であった彼女へのタイムリーな授賞に、TV生放送で過激な政治スピーチをぶつのでは?と周囲をハラハラさせたが、意外にもしおらしいお辞儀と手短な謝辞だけでステージを後にした。
(名優の父ヘンリーなど) 世の権威に反発して生きてきた彼女ははじめ辞退も考えたが、そこは大人の対応でおとなしく受け取ったのだそうだ。
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