(cache) この美しい世界で

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プロローグ？

　気が付けば5人は周囲全てを白で覆われた空間にいた。全てを白で覆われているためかこの空間が広いのか狭いのか、はたまた、自分が今地面に立っているのかそれとも浮いているのか、それすらもわからない。
　真一達4人はあまりに異常な出来事に声を出せずにいた。
　突然、上の方から声が聞こえてきたのはそんな時だった。

「やっほー！こんばんわ？」

「ッ！」

突然の声に驚いた4人はわけのわからない状況のまま声の発信源に視線を向けた。そこにあったのはふわふわと浮いている光輝く球体だった。

「あらら？皆混乱してるねぇー？そんな君達には悪いけどあんまり時間がないからちゃちゃっと説明するねー
　ここは異次元の狭間、ようは世界と世界を繋ぐ空間、でいいのかな？それでボクはそんな空間の住人。といってもボク１人しかいないんだけどねぇ～。
　まぁ、そんな所になんで君達がいるのかなんだけど、それは君達がいた世界とは別の世界、名前は“アルファス”っていうんだけどそのアルファスがなんか今世界の危機にあるんだよねぇー。　それでさぁ、なんかアルファスにある各国が協力しあって大規模な召喚をしているんだよ。本当は召喚はいけない事だからボクが止めなきゃならんけど、一世界の危機とあってさすがに上、君達が“神”と呼んでいる存在ね。その神も黙って見ているわけにはいけなくてさぁー。特別に許可がおりちゃったんだよねぇー。…はぁ～、おかげでボクはあっちにいったりこっちにいったり……ん？あぁ、実は君達意外にも召喚されている人達がいてねぇ。全部で16人だったかな？それぞれ違う世界から来てるからほんと説明するのがめんどくさくてさぁ～。
　まっ、ともかくそういうことだから。」

そういって、この空間の住人を名乗る球体は別の所に移動しようとする。その球体を慌てて真一は止めた。

「ちょっ、ちょっと待ってくれ！」

「え～、まだなんかあるの？」

「……話の内容はだいたいわかった。その上で3つの質問をしたい。
　1つ目は、そのアルファスという世界は具体的にどういった危機にあるのか。
　2つ目は、僕達はその世界で何をすればいいのか。そもそもそんな力はあるのか。
　最後に、僕達は元の世界に帰ってこれるのか。」

　真一はこの異常な状況で皆が混乱する中、どうにか頭を回転させて3つの質問を球体にする。
　球体はその質問に酷く疲れたような声をだしながら答えた。

「もう、しょうがないな～。
　1つ目の質問だけど、まずアルファスは君達のいた世界とは違って“魔物”と呼ばれる存在がいる。まぁ、他にも色々いるんだけどそれはあっちの世界で聞いてね。それでさ、アルファスの住民は昔、神が作った巨大な5つの結界、神聖結界によって守られてきたんだけどその神聖結界の効力が年々弱まってきて、最近遂に5つある内の1つの結界が完全に消滅してその結界内に存在していた幾つかの国が滅亡したんだよ。それを知った他の国々はそれはもう大慌てで何か対抗策はないかー！って探し回ったんだよ。それで漸くみつかった方法が古代の伝承に存在していた勇者召喚の儀式だった。
　それで2つ目の質問だけど、古代の伝承では勇者達は魔物をも凌駕する力を持つ、と記されていた。実際に君達はアルファスでは、それはもう強力な力を得られるからそこは安心してもいいよー。
　それでさ、それを知った国々は勇者なら魔物共を退治することが出来る！と考えたわけさ。それで今まで仲の悪かった国も、種族が異なる国も手を取り合って伝承の通りに勇者召喚の儀式を行ったわけさ。
　最後の質問だけど、これは…探せばあるんじゃない？
　以上終了！お疲れさ～ん！」

光輝く球体がそう言うと4人は呆然とした表情のままこの空間から姿を消した。
　残った球体はふぅ～と一息つくと、力尽きたように地面に転がった。

「はぁ～。やっと終わったぁ～～～。後数万年は動きたくないよー。」

誰もいないはずの空間で球体の間延びした声が響く。

「あー、でもこれから上に報告しにいかなきゃいけないのかー。……あぁ、もうほんとめんどくさいなぁ。」

気乗りはしないがここで行かないという選択をすると後々めんどうな事になるということが分かっている球体は神に報告するためにこの場から去ろうとした。
　その時になってようやく、球体は“彼”の存在に気づいた。

「あんれぇー？おっかしいな～？ここにくるのは4人だと聞いていたんだけど……。おーい。聞こえますか～？」　

球体はとりあえずこの謎の存在に語りかけるがまるで反応がない。先ほどからじっと虚空を見つめぼけ～としている。
　いくら呼び掛けても反応がない彼をみた球体は

「まっ、いっか。この子もあの世界に送っちゃお。」

とりあえずめんどくさいので一緒に送ってしまうことにした。そして彼を見て「えいっ！」と言う掛け声をすると彼の回りが少し輝き、数秒後にはその姿は消えていた。その時に球体は微妙な違和感を感じた。

「あれぇ～？ちょっと座標をミスっちゃったかな？
……ボクは何も知らない。ボクは何も見ていない。」

きっとこの事を上に知られると叱られてしまうだろう。そう考えた球体は、さっきの人物は働きすぎた自分が見た幻だろう、と結論付けて逃げるようにこの場を去っていった……

　

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