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【格闘技】

井上尚弥、KO逃すもV2 最終回の猛ラッシュ魅せた

2016年5月9日 紙面から

井上尚弥−ダビド・カルモナ 12回、ダビド・カルモナ(左)を攻める井上=有明コロシアムで(七森祐也撮影)

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◇WBO世界スーパーフライ級戦

 ▽8日▽東京・有明コロシアム▽観衆7000人

 WBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(23)=大橋=は同級1位ダビド・カルモナ(25)=メキシコ=を相手に、KOこそ逃したものの、最終12回にダウンを奪う猛攻を見せ、判定3−0で完勝。試合中に起こした右拳痛をこらえ、2度目の防衛に成功した。IBF世界ライトフライ級王者・八重樫東(33)=大橋=も判定2−1の辛勝で初防衛に成功。同級11位マルティン・テクアペトラ(26)=メキシコ=の粘りにあったが、激戦を制した。

 最終回。痛む右拳を振るった井上尚のストレートがカルモナの顎をとらえた。一瞬距離を取ったところで、タフさを見せつけてきたメキシカンがこらえきれず膝をつく。予想外の長期戦によるファンの鬱憤(うっぷん)も晴らすようなダウンシーン。挑戦者がかろうじて立ち上がり、判定にもつれ込みはしたが、怪物は痛みを抱えながら意地を見せていた。

 「最終回は痛くても見せ場を作らないとと思って…。本当は左や右ボディーだけでも倒したかったんですが」

 痛みが出たのは2回。挑戦者の頬骨にパンチが当たったためだという。骨折には至っておらず、我慢すれば打てると考えてトレーナーらにも黙っていたが、中盤になると痛みが激しくなり、左だけに頼るボクシングに。その結果が、6試合ぶりの判定だった。

 判定結果は大差の3−0。持ち前のディフェンス技術と左リードブローで、強いパンチをほとんどもらわず試合を支配し続けた。

 だが、井上尚は不満をあらわにした。「足を使って逃げ切って勝つならいくらでもできる。負けるかもという思いはまったくなかった。ただ、インパクトのある試合をしたかった。そういう意味で焦りはありました」という。勝つだけでは誰よりも自分が物足りない、それが怪物たるゆえんだった。

 父の真吾トレーナーは「悪い意味で自信過剰になっていたかもしれない。空回りしていた。でも、いい経験になりました」と、さっぱりした表情だった。拳は打撲で、長期欠場は必要ない見込み。井上尚は、故障による苦戦も糧にしてさらに成長するはずだ。 (藤本敏和)

 

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