正恩氏「責任ある核保有国」 経済と「並進」
【平壌・大貫智子】平壌で開かれている北朝鮮の第7回朝鮮労働党大会は8日、3日目の日程に入った。党規約改正や金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の「党最高位」推戴などの議題に進むとみられる。一方、国営の朝鮮中央通信は8日、金第1書記が6、7両日に読み上げた活動総括報告の内容を公開。朝鮮中央テレビは8日午後「特別重大放送」として読み上げの模様を放映した。
北朝鮮では、金第1書記の祖父、故金日成(キム・イルソン)国家主席は「永遠の国家主席」、父の故金正日(キム・ジョンイル)総書記は「永遠の総書記」に位置付けられてきた。
今回、金第1書記が「主席」や「総書記」に推戴される可能性は低く、党規約改正で「党中央委員長」を復活させて就任するとの観測が出ている。
一方、活動報告で金第1書記は自国を「責任ある核保有国」と表現したうえ「敵対勢力が核で我々の自主権を侵害しない限り、先に核兵器を使用せず、核拡散防止義務を誠実に履行して世界の非核化実現のため努力する」と強調した。
また、南北関係について「統一の実現は、党の最も重大で切迫した課題だ」とし「南朝鮮(韓国)当局は同族対決観念を捨て、相手に対する態度から正すべきだ」と指摘した。
日本に対しては「朝鮮半島に対する再侵略野望を捨て、我が民族に対して働いた過去の罪悪を反省して謝罪すべきであり、統一を妨害してはならない」との立場を示した。
自身が推進する核開発と経済建設の「並進路線」は「一時的な対応策ではなく、恒久的に堅持すべき戦略的路線」と規定。経済面では「段階別の戦略を科学的・現実的に立て、正確に執行すべきだ」と述べ、2016年から20年までの「国家経済発展5カ年戦略」を遂行するよう求めた。詳細は明らかにされていない。
一方、北朝鮮は訪朝した海外メディアの約120人に今のところ党大会の取材を認めていない。8日午前は、事前の通告とは別の「人民文化宮殿」に案内。建物前には黒塗りの高級車が多数止まっており、北朝鮮当局者は記者団に「荷物検査がある」と話し、重要な取材ができるとの期待が高まった。しかし、約30分後、当局者は「取材は中止になった」と告げ、記者らはホテルに戻った。