アコムは9日、年金や退職金の支払いに備え、現時点で用意すべき金額(退職給付債務)の計算にマイナスの割引率を適用したことを明らかにした。企業年金の計算で割引率をマイナスにしたと表明した企業は初めて。将来の支給額より退職給付債務の方が大きくなる逆転現象が生じ、利益を抑える要因になる。
企業は将来支払う年金や退職金を一定の割引率で割って、退職給付債務を計算する。アコムは2016年3月期決算で割引率を前の期の年0.468%からマイナス0.05%に下げた。新発10年物国債利回りを基に決めた。
この結果、退職給付債務は10億円増え、17年3月期から5年間に分けて費用に計上する。9日には総合物流企業のケイヒンも、16年3月期に割引率をゼロに引き下げたことを明らかにした。
日銀のマイナス金利政策を受けて割引率を引き下げる企業が相次いでいる。割引率は通常はプラスだが、日本の会計基準をつくる企業会計基準委員会が3月、「ゼロやマイナスも認める」との方針を示していた。