くっきり「ハチ号」 これが初公開の写真
白根記念渋谷区郷土博物館・文学館の新収蔵資料展
白根記念渋谷区郷土博物館・文学館(東京都渋谷区東4)で開かれている新収蔵資料展で、ハーネス(胴輪)の金属製プレートに刻印された「ハチ号」の文字がはっきり読める忠犬「ハチ公」の写真が初公開されている。6月5日まで。
国立科学博物館(台東区)所蔵のハチ公の剥製が着けている胴輪と同じで、郷土博物館の松井圭太学芸員は「胴輪が本物だと証明できる貴重な写真だ」と評価する。ハチ公は飼い主の上野英三郎・東大農学部教授の死後、出入りしていた植木職人の小林菊三郎さんに引き取られた。写真に写ったプレートには「ハチ号」の名前の左に「代々木富ケ谷 小林」と小林さんの住所と名も記載されていた。
同館収蔵庫の資料を昨年整理していて、メモ付きの白黒写真が見つかった。メモによると、ハチ公が死ぬ前年の1934年ごろに渋谷駅東側の料理店「松もと」の前で撮影された。店関係者が91年に区に寄贈した。
上野教授と小林さん宅があり、教授を待ち続けた改札もあった駅西側でなく、なぜ東側でハチ公が死んでいたかは謎とされてきたが、料理店で餌をもらうなどして東側にも足を延ばしていたことが今回の写真で確認された。
また、新収蔵資料展には昨年閉館した「渋谷公会堂」の資料も展示されている。64年東京五輪で重量挙げ会場となり、三宅義信選手が大会の日本人金メダル第1号となったことを記念したプレート、観客席の一部、テレビ番組の収録予定などを書いた日程表など貴重なものばかりだ。【早川健人】