10円値上げでも…販売数10%アップ
「アイスの日」の9日、赤城乳業(埼玉県深谷市)が4月に60円から70円に値上げした主力商品のアイスキャンディー「ガリガリ君」の同月の店頭での販売数(ソーダ味)が、暫定値で前年を約10%上回ったことが、毎日新聞の取材で分かった。値上げに伴う3月末の「駆け込み需要」の影響が懸念されたが、逆に売り上げを伸ばしたという。
同社によると、原動力となったのは、値上げ直後にテレビで3回放映した60秒のテレビCM。フォークシンガーの故高田渡(わたる)さんの隠れた名曲「値上げ」をBGMに、<25年間 踏ん張りましたが、60→70>のテロップが流れる中、井上秀樹会長ら役員と社員100人以上が一斉に頭を下げる内容。そのインパクトがインターネットを中心に話題になった。担当者は「値上げ後に厳しい反応が出て、売り上げが前年比で約93%まで落ちることも予測したが、びっくりするくらい好意的な声が多かった」と言う。
4月下旬に発売した新商品「ライチ」と「キウイ」も好評で、売り上げを後押しした。
ガリガリ君は、かき氷を独自の製法でアイスキャンディーにコーティングした商品で、1981年に発売を開始。イガグリ頭の男子小学生のマスコットも定着し、年間4億本超の売り上げを記録している。今回は1990年に50円から60円にして以来、約25年ぶりの値上げだった。【大村健一/デジタル報道センター】