サッカーの米プロリーグ、MLSで今季、複数の日本選手が活躍している。元日本代表の小林大悟、日本人としては初めてMLSドラフトで1巡指名された遠藤翼に続き、J1柏のエースストライカーとして活躍した工藤壮人もプレーする。かつて「サッカー不毛の地」などと形容された米国で、なぜこうして日本選手が活躍するようになったのか。そして今後、さらに多くの選手がプレーすることになるのだろうか。
■遠藤、記念すべきプロ初ゴール
2006年に「オシム・ジャパン」の一員として日本代表でもプレーした33歳の小林は、13年から米国でプレーしてきた。現在はニューイングランド・レボリューションでいぶし銀の活躍を続けている。
遠藤は日本サッカー協会(JFA)が設立した「JFAアカデミー福島」出身。12年に渡米し、昨年12月に卒業したメリーランド大学での活躍が評価され、1月のドラフト会議で指名を受けてトロントFCに入団した。ルーキーながら開幕戦でスタメン出場を果たし、セバスチャン・ジョビンコを中心とする攻撃陣の一端を担っている。ホーム開幕戦となった7日のFCダラス戦では記念すべきプロ初ゴールも決めた。
柏時代はクラブ史上最多得点を記録し、日本代表も経験した工藤は、得点力不足解消の切り札として今季からバンクーバー・ホワイトキャップスに移籍した。最初の10戦では無得点だったが、7日のポートランド・ティンバーズ戦で待望の初ゴールを挙げた。
また、小林と同じくニューイングランドでプレーするザクリー・エリボは父親がハイチ人、母親は日本人。将来の日本代表入りを目指している。MLSにはこれまで多くの日本選手が所属してきたが、これほど実力者や興味深い人材がそろったのは初めてである。
「全体のレベルが上がったことが大きく、日本人に限らず、多くのスター選手たちに意識されるリーグになった。プレーの質だけではなく、スタジアムもしっかりしていて、環境が整備されているのも大きい。最近は日本人プレーヤーからの問い合わせが多く、これからも増えるだろう」
MLSの国際部コンサルタントを務める中村武彦氏は人材が集まるようになった理由についてこう語る。かつてバルセロナの国際部でも働いた経験がある中村氏が証言する通り、優れた選手が集まってくるのは日本からだけでない。
MLS杯を過去5年間で3度獲得したロサンゼルス・ギャラクシーは、ロビー・キーン(アイルランド)、スティーブン・ジェラード(イングランド)、ジオバニ・ドスサントス(メキシコ)、アシュリー・コール(イングランド)といった著名選手を擁する。13年に誕生したニューヨーク・シティーFCも、スペイン代表歴代最多ゴール記録保持者のダビド・ビジャ、イングランドの名門チェルシーで伝説的存在となったフランク・ランパード、イタリアの英雄アンドレア・ピルロといった欧州のスターたちを抱えている。