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三話 ギルド
俺を乗せた馬車は幾つかの村に止まり、そこで馬を休ませてまた次の村へと進んでいく。見える景色は大体が草原、たまに林、そしてまた草原。勾配の激しい丘なんかもあり見ごたえがある。
だがそれも、始めだけですぐ飽きる。
やっと起きたキャスは馬車内にいる女性たちの会話に加わってるし、俺はそれに入る気は無いので暇である。キャスの涎付き手拭いをあげた護衛の兄ちゃんがくれた干し肉を頬張りながら、街に着いた後の行動を考え時間を過ごしていた。
陽が暮れ始めたので、これから数時間、朝日が出るまでこの場で休憩になった。夜になる前に食い物を取ってくると言って、近くの森に入り暇をつぶしながら十分後位に、以前に狩って置いたウサギや鳥をマジックバッグから取り出して持って帰ると、乗り合わせた人たちが自分が持っていた食料と交換してくれと、新鮮な肉に群がってきた。
キャスに捌いてもらい、切り分け交換していくと中々豪華な夕食となった。キャスにマグさんと呼ばれていたギルド職員さんも誘い、満足いく食事を取った後は、やることも無いので直ぐに馬車の中で眠る事にした。
昼間に散々寝ていたキャスが相手をしろと五月蠅かったが、シカトしていたらその内静かになったので、どうしたのかと思って見てみると寝ていた。何なんだよこの女は……。
寝る前にポッポちゃんはカーラさんと上手くやっているか気になり、ポッポちゃんの羽をどうやって取り戻すか考えていたら、その内俺も寝てしまっていた。
何時間寝たか分からないが、気が付いたら馬車は動き出していて、外は大分朝日が昇ってきているみたいだ。隣に居るキャスを見てみるとまだ寝ているみたいだ。……何でそんなに寝られるんだよ。
馬車の外に顔を出していると、護衛の兄ちゃんがもう直ぐ街に着くぞと教えてくれたので、キャスの涎を追加で上げようか悩んだが辞めておいた。
程なくすると街が見えてきたのか、護衛が馬車の中に向かって街に付いた事を知らせてくれる。街に入るには門を通るのだが、馬車は中には入らないので、今のうちに用意しておけとの事だ。
キャスを揺すって起こすと、まだ眠いとか言いながら俺に抱き着いてくる。その姿を見た護衛の兄ちゃんが羨ましそうな顔をしていたが、気持ちは分かるぞ。
それから間もなくすると、馬車から下りる様に言われる。ここからは徒歩で街の門まで行く事になり、踏みしめ整えられた道を進んで街の門まで進んでいった。
ここから見える街はかなり大きい。村の何倍も広そうで街を囲う壁も村の物とは違い、石を積んで作った見上げる程の高さがある物だ。街の周りには堀がありそこには水が流れている。その流れを見るとどうやら街の中に川が通っているみたいだ。
こんな朝からでも門には列が出来ていて、荷物を背負った業者や馬車に乗りこんでいる商人やらが数多くみられる。大体がこんな感じで俺らの様にほとんど何も持たずにいる人の方が少ないぐらいだ。
並んでいる人たちを眺めていると、見るからに体の形が違う存在が混ざっている。俺は驚いてキャスにその方向を指差し訊ねた。
「キャス姉、あれしっぽある。あと耳も」
「……ゼン君、まさか獣人知らないの? あっちにもいるでしょ?」
あっちと言われた方向を見ると、更に俺に衝撃が走った。そこには大きな荷物を背負った、二足歩行の熊が居たからだ。
彼らは獣人と言いこの国ではそれほど多くはいないが、それでも国民の十%を占めていると言う。数多くの種族を持ち、俺が最初に見たほぼ人と変わらない体に動物の耳と尻尾などを持つ者や、キャスの示した方向にいた、動物がそのまま二足歩行しているような種族と、多岐に渡って存在しているらしい。
ハッキリ言って亜人と何が違うんだと思ったが、たぶん獣人は人と同じ言葉を喋れて、理性的に動く存在なのだろう。
でなければ誰も騒がずにこの列を維持できるわけないしな。
いやしかし、あの熊ちゃんは可愛い。猛烈にかわいい。サイズは超でかいが、ヌイグルミみたいで超かわいい。
いつかお友達に欲しいもんだな。
獣人とどうやって知り合うかをシミュレーションしていると、並んでから三十分程で俺らの番になった。
街に入るには簡単な質問と、後は通行税を払えば良いらしく、身分証明何かは必要ないらしい。商いを行う業者などは荷物の大きさによっては追加で物品税が必要らしいが、俺らには関係ないのでこれは無かった。
私を先にさせてと言ったマグさんが、門番とは顔見知りの様で、俺らへの審査は免除となりあっさりと街の中まで入る事が出来た。
そのまま三人で冒険者ギルドまでいき、登録を済ます事にする。
冒険者ギルドは街の中心部に位置する場所にあり、まさに一等地と言う感じだ。周りには様々な店舗が広がり、まだ朝だと言うのに様々な匂いが漂ってきて、俺の鼻をその方向へと誘おうとして来る。
それはマグさんもキャスも同じらしく、先に何か食べてからギルドに行くことにした。
道の両脇には屋台の様な店がひしめき合い、そこで食事を取っている人たちの姿がたくさん見られる。料理の数も多数あり、肉はもちろん魚の匂いがして来るところを見ると、街だけあって物流は豊富なのだと分かる。
俺は迷わず魚を出している店に直行して、そこから二人を呼び寄せた。キャスは「ここがいいの?」なんて言ってくるが、俺には絶対ここしかない。俺は魚が食べたいのだからここしかないのだ!
既に席に付いている俺を見た二人は、顔を見合わせているが別に文句も無いらしく大人しく席についてくれた。
席に着いた俺らの下へエプロンを付けたおばちゃんが注文を取りに来る。
「いらっしゃい、定食で良いのかい?」
「その定食って魚ですよね?」
「そうだよ、今日はギラの焼き物だね」
ギラって何だよ……、魔法か何かか? まあいいか魚だっていうんだ取り敢えず食べてみよう。
キャス達もそれで良いらしく、定食を三つ頼むことにした。
キャス達はたまには魚も良いわねとか言っている。あの村の近くには川は無かったので、彼女らもあまり食べないのだろう。
俺はこのギラという魚がどんなものかと聞いてみると、これ位の川魚と言いニ十センチ程の大きさを両手を使って教えてくれた。
海の魚は食べないのか聞いてみるとキャスがこんな事を言い出した。
「ゼン君て頭良さそうだけど、たまにバカみたいな事いうよね」
との事だ。
ちょっとむかついたので、嘘泣きをしながら「何でそんな事言うの」何て言って見ると、マグさんに頭を叩かれていた。ぶははは、ざまあみろ。
キャスは俺の嘘泣きに気付いているみたいで、マグさんに「見てアイツ泣いてない!」何て言っているが、俺に同情的な彼女には通用しないのだよ。
海の魚の話を聞いてみると、海は南に行けばあるらしいが相当距離があるらしく、運搬なんてとんでもないと言う事だ。更にこの世界では船がほぼ無いらしい。不思議に思って聞いてみると、海の魔物が強力過ぎて、船を浮かべても少し沖合に出るだけで沈められるらしい。
どうやら、相当大きい魔物が出るらしいく、海なので地球で言うクジラ見たいな巨大な生物が生息可能なんだろう。
この世界の地図を見たくなってきたので、どこで見れるかか聞いてみたが、そんなものは無いとの事だ。
なんてこったい。
無い物はしょうがないので、料理が運ばれてくるまで俺の質問タイムは続いて幾つか分かった事は、この世界には今俺が居る大陸以外にも大きいのが一つと、小さい陸地が複数あるらしい。そのすべてが人類未到達の地域が大部分で、この大陸でさえ結構な部分は人類は辿り着いていないらしい。
特にこの大陸の北東は魔物が強力らしく、未発見のダンジョンなどが多数あるだろうとの事だ。
流石ギルド職員と現役冒険者、ナイスな知識を楽しそうに話してくれる。まあ、そんな場所に俺が行けるわけないので、それは放って置いて今目の前にある魚料理を堪能する事にした。
ギラと呼ばれた魚は、アユ位の大きさでそれ程大きくは無いが、焼かれたその皮の割れ目からはおいしそうな匂いを漂わせた湯気が上がっている。出されたフォークで銀色の魚の身をほぐしていくと、更に湯気が上がり魚独特の匂いが立ちこめる。
たまらずほぐした身を口に放り込むと、少しの塩味と魚のうま味が広がり、口から鼻に魚の香ばしい匂いが広がった。
俺はその味をかみしめ、同時に出されたパンを詰め込むと一気に出された定食を完食してしまった。
やはり日本人は魚を食べないといけないと、心から思い知らされる一品で、ここに醤油と米があったら俺はこの街に当分籠る事になりそうなほど感動的な食事だった。
速攻で食べてしまい手持ちぶさたなったので、店員さんに果物のジュースを三人分頼み、二人が食べ終わるのを街並みを見ながら待っていた。
食事も終わり冒険者ギルドへと歩いていく。定食を食べた店と同じ、街の中心地にあるので直ぐに辿り着きその扉を開いた。
古い木製建築の冒険者ギルドの中は、中に入るとカウンターへと続く通路とその周りには丸机と椅子が並んでいる。
壁には大きな掲示板が掛けられており、そこに掛けられている木の板に依頼内容が書かれているのだろう。
朝だと言うのにギルドの中は結構人がいる。ギルドは職業斡旋所みたいな物だしそれもそうかと納得した。
よく見ると子供の姿も見え、熱心に掲示板の仕事を見ている様だ。
俺らがカウンターに近づくと、受付嬢がこちらに声を掛けてくる。
「おはよう、マグさん。更新に来たの?」
「そうよ、後この子の登録をお願い。ギルドの説明はしてあるから登録処理とカードの説明だけでいいわ」
そう言ってマグさんはギルドの二階へと上がって行った。彼女はこの業務が終わったら帰るらしいので、帰りは俺らとは一緒にはならないとの事だ。色々ありがとうよマグさん。
「じゃあ君、こっちに来てこのクリスタルに触ってね」
そう言われて俺はカウンターまで行き、受付嬢が差し出した大人がつかめる程度の大きさのクリスタルに触れてみる。
すると、マジックバッグの登録の時の様に、びりっとした感触が手に伝わってくる。
「はい、いいよ。ちょっと待ってね」
受付嬢がクリスタルを持って奥まで行くと、取り出したカードをクリスタルに当ててから、手元に置いてある紙の束に何かを書き込んでいる。
程なくして戻ってきた彼女が「はいっ」と言って俺に一枚のカードを手渡してくる。
その赤金色のカードは、ダンジョンで大量に作った武器と同じ色で俺にはかなり馴染みがある。これがブロンズカードなのだろう。
カードの表面には俺の名前と冒険者ギルドという文字、そして剣と盾のエンブレムが書かれている。裏側には何も書かれていないが、横線が二本走っていて、ここに何かを書き込むのかなと思わせる。
俺がカードの裏表を眺めていると受付嬢が声を掛けてくる。
「いいかしら? カードの説明をするわね。このカードはギルドで仕事を受注する時と終了時には提出してね。ポイントの加算や受注する時のランクのチェックをするからね。このカードを無くしたら直ぐに近くのクリスタルがあるギルドで新しく作ってもらってね。ブロンズなら銀貨二枚で再発行出来るから直ぐにやるのよ?」
受付嬢が俺の顔を見ながら丁寧に説明をしてくれる。中々出来たお姉さんだ。
「後は、このカードの後ろには自分のスキルを表示させる機能があるから利用してね。依頼主がちゃんとスキルを持っているか、確認したがる場合とかに見せてあげてね。合計三つまで持っているスキルを出せるけど、普段は何も表示させないでいいわ。でもね、このカードでスキルを見せる事は出来るけど、簡単に見せちゃだめよ? あくまで相手の信用を得る時だけ見せるの。冒険者は自分の手の内を簡単に見せたらいけないんだから」
カードの後ろに有った空白はそんな使い方が出来るのか、確かに仕事する上でスキルがあるこの世界じゃ免許代わりになるのか。
その後の説明でカードを手に持って集中すれば、自分が思ったスキルを表示させる事が出来るらしい。俺はテストで調教を表示させてみると、『調教Lv2』とカードの裏側に表示された。
ふとカードから視線を上げると、受付嬢が俺のカードを覗きこんでいた。「別に誰にも言わないわよ」とか言って笑っているが油断も隙もねえ。
受付嬢はカードの説明も終わったらしく、他の業務に取り掛かっている。俺は一言お礼を言ってその場を離れた。
カウンターから少し離れて、ギルドカードに今度は槍術を表示させてみようとしたが何故かでない。現在レベル0の槍術はギルドカードには表示させられないのだろう。
何となくギルドカードの仕様は分かったのでギルドカードはマジックバッグにしまい、ギルドの中を見回してみると、いつの間にかキャスが掲示板を眺めていた。
俺はキャスに近付き後ろから声を掛けると、吃驚したらしく何故か俺が怒られた。
何を見てるのか気になってキャスが見ていた物を見てみると。
【ランク・プラチナ/キマイラ討伐/報酬 大金貨三枚】
なんて物が出ていた。場所は村の北の森、要するにあのキマイラの事だろう。
キャスと顔を見合わせて二人して微妙な表情になってしまった。
あの森にはあまり人は入ってほしくないのだが、死体を出す訳にもいかないのでどうにもならないんだよな。
一通り掲示板に張られている依頼を見ていく。
【ランク・ブロンズ/ゴブリン討伐(常時)/報酬 一匹 銀貨一枚】
【ランク・ブロンズ/溝掃除/報酬 銀貨五枚】
【ランク・シルバー/平原狼討伐(要死体)/報酬 銀貨三枚*素材の質により上下あり】
低ランクの物はこんな感じで張り付けてある。
ゴブリンは殺した後に両耳を持っていけば良いらしく、そのほかにもオークは鼻、オーガは牙などが討伐証明になると言う。オーガ等は革自体が鎧の素材になるらしいので、普通はその場でさばいて剥いで来るらしい。人間むごすぎるだろ……。
機会があったらゴブリンの死体から耳を切り取って持ってくるとして、他には受ける依頼も無いのでギルドからは出てきた。
さて、これからは楽しいショッピングの時間なのだが、その前に現金を作りたい。その為にも連れてきたキャス姉さんに早速役立ってもらおう。
俺はキャスにまずは宿屋を取ろうと言い、それに同意したキャスの案内で普段使っていると言う宿屋に案内してもらった。
街の中央から五分ほど歩くと、目的地である華の乙女亭にたどり着いた。名前の通り多くの花壇が飾ってあるその宿屋に、キャスは慣れた感じで扉を開けて中へ入って行く。
「いらっしゃい! あらキャスじゃない久しぶり」
中に入ると五十代ぐらいのおばちゃんが挨拶をして来る。
「久しぶりネリーさん。ベッド二つの部屋空いてる?」
「そっちの坊やはあんたの弟?」
「色々あって今家にいるのよ」
何て話している。ツインの部屋は一泊銀貨三枚で相場で言えば中級に当たるらしい。中層だと結構良い方なんじゃないかと思ったが、女の子が止まるのに低級の宿屋だと安全面で心配だよな。
キャスと宿屋の女将ネリーさんが世間話を終えてから部屋にやってきた。清潔感があり陽も差し込む部屋でなかなか良い。ベッドに腰かけてみると布団は藁では無くちゃんとした綿が入った布団だった。思わず布団にダイブして感触を楽しんでしまった。
布団を堪能した後は、同じく布団にダイブしていたキャスに今後の予定を話す。
「キャス姉、俺お金欲しいからこの宝石売ってきてよ」
俺はそう言ってマジックバッグから、ダンジョンのボスを倒した時に手に入れた宝石を、数個取り出しキャスに見せて見た。全て10カラット以上の大きさがありずっしりと重たい。高額であろう宝石は今回除外して、タンザナイト、トルマリン、ガーネットなどを取り出してある。
俺が手に持つ宝石にキャスが吸い寄せられるように向かってきた。
「馬位なら余裕で買えそうね。ゼン君これをどこ……いや、聞かないわ」
ははは、聞いた所で答えないのを覚えてきたな。
しかし、この宝石の相場が分からないし、馬の値段も判らないんだよな。
「それっていくら位なの?」
「ん~、馬一頭大金貨1枚から二枚って所かしらね」
「じゃあ、売値の一割上げるからお願いね。ギルドの依頼みたいなもんだと思ってさ」
そう言うとキャスは一度喉をゴクリと鳴らして、俺の手から宝石を受け取ったのだった。
冒険者が宝石を売る事は多々あると言う。主にダンジョンでのドロップで手に入るらしく、キャスは経験が無いらしいがあの村にもダンジョンで手に入れた人の話を聞いた事があるらしい。
キャスがダイヤの絵の看板を掲げた店に入ると、十分ほどで出てきた。その手には布の袋を持っているが、思ったよりは中に入っている硬貨が少ないような気がする。
「キャス姉の取り分取った?」
俺が布の袋を受け取りながら聞くとキャスは神妙な顔をしながら。
「大金貨なんて初めて持ったわ……」
なんて言っている。
確かに俺も百万円の束なんて怖くて持った事は無い。銀行口座にならその数倍は余裕で入っていたが、実際現金で持つ機会なんてそうそう無いんだよね。
袋を開けて中を確かめると大金貨三枚が入っていた。キャスの予想を上回る金額になっていた。
このままでは取り分を上げる事も出来ないので、何か買い物をして崩そうと思ったのだが、これだけの金額で支払うものなんて中々無い。
なので、キャスが宝石を売った報酬で買いたいと言っていた、武器屋へ行って見る事にした。
この規模の街になると同じ鍛冶屋でも、武器屋と防具屋とに分かれて、更には日常品などを扱う金物屋見たいな店まであるみたいだ。今歩いているこの職人街では多数の金属を取り扱っている店が目に入ってくる。
その中でもキャスが選んだ店は、他の無骨な店とは違い、植木鉢何かで飾ってある綺麗なたたずまいの店だった。
どう考えても見た目で選んでるよな……、まあ女の子だし仕方ないか。
店のドアを開けるとドアに着いたベルが来客を知らせる。
カウンターで暇そうな顔をして、何処を見ているか分からない顔をしていた店員さんが、いらっしゃいませと丁寧な挨拶をしてくれた。
キャスはそんな店員の様子など気にする様子も無く、早速店内を物色している。
俺もキャスに習って壁に掛けられた武器や盾等を見ていく。この店の商品は、武器としての品質よりは施された細工に目を奪われる。
例えば俺が今持っているエストックの品質は、標準と俺の鑑定で分かる。だが、見た目はどう見ても高級感が漂うエストックなのだ。
要するにこの店は見た目重視の装備を提供しているのだろう。他の店はまさにオッサンの巣と言う感じだが、この店はそれが無い。キャスが吸い込まれたのも仕方ないだろう。
俺はキャスに小声でその事を伝えてみると、どうやら分かっているらしい。ならば俺は何も言わない。自分が欲しい物を買ってくれれば良いのだから。
十分ほど掛けて二本の剣を選んだキャスは、そこから更に十分を掛けてやっと一本の剣を選んでくれた。
キャスの選んだ剣は、全体的に白い装飾を施された儀式用で使いそうな剣だった。
俺も手に取って見せてもらうと、やはり品質は標準だった。
本人が欲しいと言っているので、最終確認をしてカウンターの持っていき購入する。金額は金貨二枚に大銀貨五枚。シルバー成りたてが持つには中々の値段じゃないだろうか。
店員は俺が支払う事に驚いていたが、直ぐにそんな顔も収めて支払いは済んだ。
店から出たキャスは腰に着けた新しい剣を、ニヤニヤしながら見ている。俺も新しい電化製品を買った時何かはそんな顔をしてた気がするが、女の子が剣を眺めてその顔はどうかと思う。
一度宿屋まで戻り、キャスにはここからは別行動を取る事と言っておく。だが、キャスは新しい剣で色々な構えをして、俺の話を全く聞いてなかったのでそのまま出てきた。
まあ、夜には戻るし大丈夫だろう。
さて、早速情報収集でも始めようかな。
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