経済政策を軌道修正 富裕層への課税強化
米大統領選の共和党候補になることが確実な実業家ドナルド・トランプ氏(69)は、大統領になれば富裕層への課税を強化し、労働者の最低賃金を引き上げる考えを表明、経済政策を軌道修正した。米メディアが8日伝えた。
11月の本選をにらみ、貧富の格差拡大に不満を持つ有権者の支持を取り込む狙いとみられる。ABCテレビのインタビューで、トランプ氏は政策見直しを認め、経済政策には「柔軟性が必要だ」と釈明。多くの税金を「(富裕層である)私も喜んで支払う」と述べた。
トランプ氏は昨年9月に発表した税制改革案で富裕層を含む「全国民の減税」を掲げ、所得税の最高税率を現在の39.6%から25.0%に引き下げると表明。選挙戦では企業の負担増になる最低賃金の引き上げに反対してきた。
トランプ氏はNBCテレビでも富裕層への課税強化に言及し、昨年の改革案で示した中間層の減税には今後も取り組む姿勢を見せた。通商政策を巡ってはABCテレビに「孤立主義的にはなりたくないが、中国や日本、メキシコを相手に起きていることはひどい」と述べ、日本などが米国の雇用を奪っているとの主張を変えなかった。
民主党の候補指名争いでは、格差是正策を前面に打ち出すサンダース上院議員がクリントン前国務長官を相手に善戦。クリントン、サンダース両氏とも最低賃金の引き上げを掲げている。(共同)