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ビッグデータで危険地点特定 国交省

ETC2・0などのデータをもとにした通行車両の速度データ。青系で表示されたポイントは時速30キロ以下、緑は30〜40キロ程度、赤・オレンジ色は40キロ以上。通行量も分析でき、抜け道に使われて通行量の多い生活道路も特定できる=国土交通省提供

 自動車の通行に関する「ビッグデータ」を活用した新たな交通事故防止対策を、国土交通省が今年度から始めた。多くのドライバーが急ブレーキをかけた地点や速度のデータを集めて危険が潜む場所を特定し、住宅街の中や通学路など「生活道路」を中心に全国約100エリアで実施する方針。国交省の担当者は「事故が起きてから対応する『対症療法型』から『科学的防止型』への転換を図りたい」と効果に期待する。

     国交省が活用しているのは、次世代型の自動料金収受システムとして昨夏から普及が始まり、車両の走行経路や速度、渋滞情報などを送受信できる「ETC2・0」のデータ。道路沿いに設置された「ITSスポット」と呼ばれる機器付近を通過したETC2・0搭載車から、加速度などを含めた走行履歴情報を受信し、サーバーに蓄積する。

     ETC2・0や、同様の機能を持つカーナビゲーションシステムを搭載した車から得られたデータを分析すると、急ブレーキや急ハンドルが多発した地点を割り出すことが可能になる。国交省はこうした情報を自治体に提供し、連携して事故の未然防止を図る。幹線道路に比べ、危険箇所がわかりにくい生活道路を対象とする。

     千葉県鎌ケ谷市は今年4月、交通量の多い国道や県道、バイパスに囲まれた南初富地区のデータを国交省から提供された。地区内にある小学校脇の道路などの交通量が多かった。地区内の生活道路はもともと幹線道路の抜け道として利用されており、千葉県警が今年2月、車両の速度を時速30キロ以下に規制する「ゾーン30」に指定していた。ビッグデータで生活道路の危険性が裏付けられた形だ。

     市は今後、国が分析したデータを活用しながら、地区内でさらにきめ細かい対策が必要か検討する。市道路河川管理課の若泉哲也課長は「細かい道路まで分析したデータがあれば、地域の住民と対策について協議する際にも役立つ」と話す。

     国交省は各市町村にデータの提供を進めており、同省環境安全課の担当者は「やみくもに探すより危険箇所を絞り込むことができるので、自治体にとっても効率的に対応できるメリットがある」としている。収集される情報には、個別の車が特定されるデータは含まれていないという。【曽田拓】

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