福井新幹線、県全体で「小浜−京都」 県建設促進同盟会が決議
県北陸新幹線建設促進同盟会の総会が八日、福井市の福井商工会議所ビルであった。敦賀以西について、小浜市と京都駅を経由する小浜−京都ルートの年内決定などを政府・与党に求めていくよう決議し、県全体の意思統一を図った。 決議にはルート決定に加え、大阪までの早期全線整備や北陸・中京圏間の接続向上も盛り込んだ。金沢−敦賀間は、敦賀開業のさらなる前倒しや、敦賀、福井両駅で新幹線と在来線の乗り換えの利便性を確保するよう求めている。 会長の西川一誠知事は、小浜−京都ルートを「時間短縮効果が大きく、料金が安い。産業や観光振興など県の発展につながる」と評価。京都−大阪間は「最短で、合理的に整備する必要がある」と述べ、東海道新幹線の北回りルートを支持した。 小浜−京都ルートはJR西日本が提案した。これまで同盟会が求めていた若狭(小浜)ルートは、京都駅を経由しないため与党検討委員会の議論から外れた。県などは、JR案が小浜市を通ることから「若狭ルートの一つ」と位置付け、方針転換している。 同盟会は行政や経済界などで構成。総会には県選出国会議員や沿線首長ら計百七十人が出席。来賓として招かれ、舞鶴ルートを推す京都府の担当者は決議前に退席した。 ◆財源に財投利用も北陸新幹線敦賀以西ルートの財源について、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)座長の稲田朋美・自民党政調会長は八日、日銀のマイナス金利政策を生かし「党内で今後、財政投融資などを利用することで金利分を浮かして財源にすることも検討したい」との見解を示した。福井市で開かれた県北陸新幹線建設促進同盟会などで説明した。 財政投融資は、国債の一種「財投債」の発行などにより調達した資金を財源とし、民間だけでは対応が困難な事業の実施を可能にする。返済には税金でなく、事業収入が充てられる。整備新幹線の場合は建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構に貸し付ける。政府・与党は貸付金利の下限見直しを視野に入れるという。 与党検討委員会は四月、敦賀以西ルートを小浜−京都、米原、舞鶴の三案に絞り込み、国土交通省へ調査を発注。ルート決定後、十年以内に大阪までの全線整備を目標としている。 整備新幹線の着工条件には、安定的な財源見通しの確保が含まれているが、現時点で敦賀以西の財源はめどが立っていない。JR西日本や県などが求める小浜−京都ルートの建設費は一兆円超とみられている。 (山本洋児) ◆「マイナス金利活用、夏へ向け議論」 与党PT・稲田朋美座長与党整備新幹線建設推進PT座長の稲田朋美・自民党政調会長は福井市内で本紙などのインタビューに応じた。 −敦賀以西の整備財源をどう確保するか。 「マイナス金利で財投の金利も安くし、長期間借りられるスキーム(枠組み)を考える。計算上、考えている利払い分を圧縮すれば、それが財源に使える。財投をどういう形で入れるかは国交省を中心に検討させている。毎年の国費七百五十億円を増やすことも理解が得られればやるべきだ」 −どのような場で議論していくか。 「マイナス金利活用の切り口は整備新幹線だけでなく、奨学金の利子を少なくするとかいろいろある。夏に向けて政調会長が本部長を務める自民党の日本経済再生本部で議論する」 −検討委の西田昌司委員長は建設国債の発行を提案しているが。 「党内でそういう意見が大勢というわけではない。(財政投融資と違い)建設国債はプライマリーバランス(基礎的財政収支)に影響する。納得させるのはそう簡単でない」 −検討委は全線開業の目標を十年以内としている。 「なるべく早くすべきだが、同時に財政再建との関係はしっかり見ていかないといけない」 −国と地方が二対一という負担割合を見直す可能性は。 「今まで作ってきたものを簡単に変えるのは現実的ではない」 −関西空港延伸は。 「観光を含め、個人的には絶対につなげた方がいいと思う。ただ(北陸新幹線の)整備計画にはない。他の基本計画に与える影響を考えながら議論していかないと難しい」 (聞き手・山本洋児) PR情報
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