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車中泊、8割孤立化 「行政の接触ない」

車中泊する避難者(右)に避難生活で困ったことなどを質問する「こころをつなぐ『よか隊ネット』」のスタッフら=熊本市東区で2016年5月7日午後10時38分、松田栄二郎撮影

 熊本地震の被災者を支援している熊本県内外のNPO法人など約30団体で組織する民間ネットワーク「こころをつなぐ『よか隊ネット』」(本部・熊本市)が、県内の車中泊の避難者131人に実施したアンケートで、行政からの接触がなかったとした人が約8割に上っていることが分かった。避難の長期化で健康に不安を抱く人も多いことから、ネットは9日、熊本県や熊本市に早期の生活再建支援や健康・心のケアを求める提言書を出す。

 アンケートは、車中泊を続ける避難者の生活改善につなげようと、稲月正・北九州市立大基盤教育センター教授(社会学)が責任者となり、熊本市や益城(ましき)町、御船(みふね)町、大津(おおづ)町で4月26日〜5月4日に実施。車中泊で困っていることや、今後の生活の見通しなどを聞いた。

 自治体職員が事情を聴いたり、支援などの説明をしたりするため訪れたことはあったかという問いに103人(78.6%)が「まったくなかった」と回答。「あまりなかった」の6人を加えると8割を超えた。自由記述では「仮設住宅がいつできるのか情報がほしい」「役所が機能しておらず、相談する先がない」と孤立化を示す意見があった。「体や腰が痛くて眠れない」「糖尿病の持病があり、食生活の変化が心配」と健康不安の訴えも目立ち、行政の医療・福祉の支援が必要な状況が浮かんだ。

 熊本市は現在は各区役所で車中泊者も含め避難者の支援のニーズを聞いて回っているとした上で「小規模の駐車場にもいる車中泊者に対応するため、専門職員を配置すべきだろうが避難所の対応に追われ十分、手が回らない」としている。

 ネット事務局長で、東日本大震災の被災者支援も続けている公益財団法人「共生地域創造財団」の多々良言水(たたらともみ)事務局長は「他の都市部で震災が起きると同じように車中泊避難者の増加が予想されるため、避難実態を分析して今後の被災者支援に役立ててほしい」と訴えている。【松田栄二郎】

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