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児童ポルノ被害 IT業界は対策強化を

 児童ポルノの被害がやまない。

     全国の警察が昨年、摘発した児童ポルノ事件は1938件に上り、前年を110件上回って過去最多を更新した。

     一方、ネット企業でつくる団体も児童ポルノを含む違法、有害情報の削除に一定の成果を上げているが、現状には追いついていない。被害を減らすには、子供に対する重大な人権侵害という認識を社会にもっと広げる必要がある。

     警察庁によると、被害に遭った18歳未満の子供も最多の905人に達した。このうち裸の画像を自ら撮影してメールなどで送らされる「自画撮り」が約4割を占めている。

     相手が画像を送るよう脅したり、言葉巧みにだましたりする手口で、中高生の被害者が多い。カメラ機能の付いた携帯電話やスマートフォンの普及が背景にある。

     被害はネットによって世界に広がる。国連児童基金(ユニセフ)によると、子供の性的虐待の内容を含むウェブページ数は2012年から14年までに約2・5倍に増えた。被害児童の約8割が10歳以下だった。

     こうした中、ヤフーなどのネット企業が13年に一般社団法人「セーファーインターネット協会」を設立し、業界主導での対策を始めた。

     協会はネットの利用者から児童ポルノや危険ドラッグなど違法・有害情報の通報を受け付けたり、自らネット上をパトロールしたりして問題のある情報の把握をしている。

     協会によると、15年に集まった児童ポルノに関する情報のうち、運用のガイドラインに照らして違法と判断したものが5466件に上った。大半が国外のサイトに載っていた。

     いずれもまずサイトの管理者に削除を要請し、応じない場合はプロバイダー(接続業者)に削除を求めている。その結果、約8割に当たる4333件が削除された。警察の捜査にも限界があるため、業界のこうした努力は有効と言える。

     とはいえ、協会の加盟企業は10社にとどまり、大手でも加盟していない企業がある。

     児童ポルノがネット上にさらされてから時間がたつと拡散し、削除要請しなければならないサイト数も増えてしまう。早期の対応を取るためにも、加盟する企業を増やし、チェック体制を強化したい。

     ネットを利用する子供たちへの教育も重要だ。ネットで見知らぬ相手と交流できるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて被害に遭うケースが多い。

     ネットの危険について教える学校もある。協会も自治体と協力し、保護者向けの研修を始めた。こうした活動をさらに広げてほしい。

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