ファミコン最後のFF
スーパーファミコン発売を11月に控えた1990年4月に、ファイナルファンタジーIII(以下FF3)は発売された。
FF3の頃になると、もうFFシリーズはドラクエと並ぶRPGのビッグタイトルと捉えられており、おもちゃ屋の予約なども大盛況だった。自分は予約無しで随分経ってから手に入れたのだが、その前に友達が買ったのでプレイするところを見せてもらったりした。
始まりのダンジョンの荘厳な音楽、そして、フィールドに出た時のあの美しい「悠久の風」。ちょっと暗かったFF2から一転、FF3の世界は眩しく、美しかった。
どうでもいいけど、昔はみんなで交代交代でゲームをプレイしたりしたのだが、どういうわけか自分の周りではRPGも交代でプレイするのをみんなで見るという、謎の風習があった。あれは今振り返ってみても妙だなと思う。
FFの流儀を確立したFF3。
FF3最大の特徴は、そのジョブチェンジシステムだ。
敵を倒すと「キャパシティ」というポイントがもらえ、それを消費することでいつでもどこでもジョブチェンジが可能になる。これが画期的だった。なんといってもジョブチェンジのデメリットがほぼないのだ。これで、「様々なジョブを好きにレベル上げ出来る」というFFのジョブチェンジシステムらしいものが出来上がった。
そしてもう一つ、忘れてはならないのが召喚魔法の初登場だ。ただ、魔法はFF2とは違い、また回数制限のあるシステムに戻った。とはいえ、回数制限が大幅に緩和されたため、使えなくなるということには陥らなかった。
戦闘時にメッセージ表示ではなく、与えた(回復した)ダメージが数字でピョコンと出るようになったのもFF3が最初だ。これはあらゆるRPGでいまでも連綿と受け継がれているファクターだ。
ストーリー面でも、シリーズの命運を決定づける重要な概念が生まれる。それがクリスタルだ。FF1でもクリスタルは出てきたが、FFらしいクリスタルとして描かれたのは本作が最初と言っていいだろう。
さらに、序盤からユーザーの度肝を抜く展開(あえて言わない)、様々な種類の飛空艇、壮大な物語の展開、そしてあのテーマソング(3だけのあのイントロは好き)など、後のFFに欠かせない要素を多数打ち出してきた、まさにターニングポイントとなった作品だといえる。シリーズ初のミリオンヒットとなったのもFF3だし。
誰もが泣いたラスダン。
と、名作に違いないFF3なのだが、問題点も多数ある。
いろいろありすぎるので細かいものは割愛するが、どうしても書いておかなれければならないのは、やはりあのラストダンジョンの長さ、キツさだろう。
はっきり言うと、ラスダンは2時間位かかる。しかも、途中にセーブポイントはない。そして、ボスがまたキツイ。ラスボスを倒すには、闇のクリスタルを守る4体のボスを全て倒す必要がある。その中でもアーリマンの開幕メテオはかなり凶悪だった。
このラスダンはたしか途中で離脱ができない。クリスタルタワー最上階でイベントが起きてしまうためだ。なので、2時間休み無しで一気に攻略することを求められる。
加えて、例の4体のボスを倒さなくてもラスボスに挑むことができてしまう。当然倒せないのだが、自分は気が付かずに最初特攻してしまった。話をよく聞いていないと命取りになる典型である。
ラスダンに出てくる普通の敵でも強力なドラゴン系の敵がいたりして、一瞬足りとも気が抜けない。それが2時間も続くのだ。クリアした時は感動よりも安堵が生まれた。
幻のFF4。
とはいえ、高水準のグラフィックス、美しいサウンド、スケールの大きいシナリオなど、名作と呼ぶにふさわしい要素を多数加えたFF3は、まさに日本を代表するRPGへと成長するきっかけになった。
この後、FFシリーズはスーパーファミコンの発売から8ヶ月後に4を発売し、ドラクエと並び立つ国民的RPGの地位を完全に確立する。
だが、実はスクウェアはファミコンでもFF4を作っていた。だが、時代はもうスーパーファミコンである事と、クオリティの問題からファミコン版FF4をキャンセルし、FF5として開発していたスーパーファミコン版をFF4として発売したのだ。
ファミコン版のFF4がどんなものだったのかはいまとなっては知る由もないが、ちょっと遊んでみたかった気がする。