【寄稿】宮本武蔵と韓国検事の心

地震被害に見舞われている熊本県は宮本武蔵ゆかりの地
長短2本の刀を自由自在に使い分けた日本最高の剣客
選挙法違反を捜査する検事も事件の内容に関係なく厳密な捜査を

【寄稿】宮本武蔵と韓国検事の心

 総選挙が終わった。予想外の結果に政界は今もざわついているが、そのためか検察庁の周辺も何かと騒がしい。

 選挙前から「選挙が終われば検察は大々的な捜査を始める」といった声があちこちで聞かれ、それに伴い「大企業も幾つか目を付けられている」といった根拠のないうわさも広まっていた。今年の初めに検察の組織が大々的に見直され、かつての大検察庁(最高検察庁に相当)中央捜査部と同じく特別捜査を担当する部署が新たに設置されたが、そのようなこともあってか「検察は選挙直後から国民の注目が集まる大規模捜査に着手し、選挙局面の転換に乗り出すのでは」といった無責任な予測を語る人間も複数いた。

 この種のうわさにすぎないものの真偽を確かめるため、捜査を受ける側の財閥やメディアは手探りのような形ですでに動き回っている。今回の選挙では当選者の3分の1が選挙法など何らかの違法行為ですでに捜査を受けており、選挙が終わると検察の家宅捜索も始まった。この調子だと検察による大掛かりな捜査は当分続くだろう。

 犯罪について捜査を行い、犯人を処罰するのは検察にとって本来の仕事だ。捜査に全力を尽くすのは当然であり、また常にそうあるべきだ。ただ問題はその相手によってやり方が変わることだ。検察も内部にマニュアルのようなものがあるだろうし、国民の期待もあるだろう。時に検事は刃物を取り扱う「刀使い」と呼ばれることがある。その理由はよく分からない。検事の「検」という漢字の読みが「剣」に通じるためという説もあり、また日本の武士や侍のように、鋭い刀で犯罪者を処断する検察の仕事から来ているという見方もある。

 ちなみに「○○使い」という言葉はあまり良い意味では使われないが、検事に限ってまんざらでもないのは不思議なことだ。李明載(イ・ミョンジェ)元検事総長は10年以上前に行った就任のあいさつで「武士は凍り付くほど寒いときも火に手をかざさない」と語り、検事を刀を扱う武士に例え、名誉と道徳心を失わないよう訴えたことがある。このあいさつの言葉がきっかけとなり、検察が「刀使い」と呼ばれるようになったと思われる。

崔在卿(チェ・ジェギョン)法務研修院碩座(せきざ)教授
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