宅建を受験したい人は、絶対覚えて置いたほうがいいポイントがあってその分野から頻出する問題があります。宅建業法と民法の権利関係を中心に覚えておけば、合格はかなり近くなるでしょう。権利関係はどれも重要だけど、この法定地上権は簡単だし覚えておけば1問貰ったようなもの。例えば住宅ローンなどの借金が払えなかった場合で土地だけが他人の物になったパターンなどに当てはまる。宅建の勉強法は頻出問題を繰り返し学習することは効率よく合格する一歩なので絶対に覚えておきましょう。
今日は宅建の勉強法と織り交ぜて、法定地上権の解説もしていきます。宅建の取得を目指している方は是非参考にしていただきたい。
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【宅建勉強法重要項目】法定地上権
AさんはX銀行からお金を借り、所有する土地及び、その上の建物に抵当権を設定しました。その後、Aさんは借金を返済することができず、X銀行が抵当権を実行して競売にかけました。それにより、Bさんが建物を、Cさんが土地を競落したため、「土地と建物の所有者が違う」ということになってしまいました。
この問題のポイントは
• Aさんの建物と土地⇒競売されて他人の物になった
• 建物=Bさんが所有者になった
• 土地=Cさんが所有者になった
この場合において、BさんはCさんに対し、土地の明け渡しを請求できるのでしょうか?
答えはBさんは「法定地上権付きの建物を取得するだけ」で、Cさんに土地の明け渡しを請求することは出来ません。
宅建の勉強法は基本書から勉強することはオススメしません。
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宅建の勉強法として基本書を読む事は確かにに大事ですが、基本書を眺めていても得点力は身に付きません。得点力を身につけるためには問題をテキスト代わりに基本書を辞書代わりにする必要があるのです。宅建の勉強法に限らず、法律系の資格全般に言える事ですね。過去問が大事だと言われるのはここにあります。理解できていない人は過去問をただ回転させているに過ぎないのです。
では問題と簡単な解説を書いたので次はテキストを辞書替わりにしてみましょう。
テキストには必ず法定地上権が成立する要件がかいてあります。
法定地上権
【法定地上権が成立する4つの要件】
1:抵当権設定当時、土地の上に建物が存在した。
2:抵当権設定当時、同一人が土地と建物の両方を所有していた。
3:土地と建物の一方または双方に抵当権が設定された。
4:抵当権の実行により、土地と建物の所有者が別々になった。
以上3つの要件は重要なポイントですので知識の定着をしておきましょう。
次は条文を見てみましょう。
民法 第388条
土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
それでは問題に戻ってみましょう。
AさんはX銀行からお金を借り、所有する土地及び、その上の建物に抵当権を設定しました。その後、Aさんは借金を返済することができず、X銀行が抵当権を実行して競売にかけました。それにより、Bさんが建物を、Cさんが土地を競落したため、「土地と建物の所有者が違う」ということになってしまいました。
要件と条文を検討したあと、問題を見てみると抵当権設定当時はAさんが土地と建物の所有者でX銀行が抵当権者であることがわかります。そして、抵当権を実行したため、土地と建物はBとCがそれぞれ持つこととなった事がわかります。このように問題の正解とは必ず要件を満たしています。そして要件は条文の中にあります。
超重要ポイント
抵当権設定当時に建物が存在していれば、その後、火事などで焼けて滅失し再築したり、朽廃などによって改築された場合でも、新しい建物のために法定地上権が成立します。→何故なら抵当権設定当時には要件を満たしているからです。
難しい事でもなんでもないのですが、問題ではこのように突いてきます。
抵当権設定当時にAさんの持ち物でありさえすれば、そのあと土地と建物が別人の物になっても法定地上権が成立します。
※抵当権設定当時土地と建物が別人の物だった場合は、法定地上権は成立しません。詳しく解説すると抵当権設定前に、Aさんの物だった場合は土地建物両方Aさんのものですから法定地上権は成立しますが、抵当権設定前は建物はAさん土地はYさんの物だったとします。
その後なんらかのやり取りの中でAさんがYさんの土地を手に入れたとします。ということは抵当権設定当時、同一人物が土地と建物の両方を所有していたという要件は満たしませんので法定地上権は成立しないのです。
では、土地だけ(更地)がAさんの物で建物が建ってなかった場合はどうでしょうか?更地に抵当権を設定したあとに、Aさんが建物を建てたようなケースです。答えは法定地上権は成立しません。1:抵当権設定当時、土地の上に建物が存在した。これを満たしません。
問題を解くときに意識する事はこのように要件を意識することが重要となります。漠然と過去問の答えだけを追っても意味ないことがわかりますよね。自分で解説できるようになることが重要なのです。これは要件①を満たしてない、これは①と②と③は満たしているが④がないなとか、そういった感覚を養っていきます。宅建の勉強法は他の資格の勉強法の土台にもなります。
法定地上権がらみの過去問 宅建の勉強法では超重要項目となる過去問
宅建の勉強法では過去問の研究が超重要です。この時注意する事は正解を追うことではありません。1肢づつ検討することが重要となります。勿論4択に正解するためのテクニックも大事ですが、基礎段階では1肢づつ丁寧に検討しましょう。
問題:土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合における法定地上権の成立に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1.土地に対する抵当権設定当時、建物については保存登記がなされていない場合にも、建物が存在していれば法定地上権は成立する
2.建物のみに抵当権が設定された後、抵当権実行前に土地が譲渡された場合にも、法定地上権は成立する。
3.土地に対する抵当権設定当時存在した建物が火災で消滅し、抵当権実行前に同様の建物が再築された場合には法定地上権は成立しない。
4.土地と建物の双方に抵当権が設定されたのち、双方が別々の物に競落された場合にも、法定地上権は成立する。
これは昭和61年の過去問ですが、現在でも問われる論点はそう変わりません。なぜなら結局のところ、過去も未来も、宅建の勉強法の基本は要件を満たしているか?という視点を持つ事が重要だからです。どの講師も条文を確認しましょうと教えますが毎度、六法を引いて確認するのは大変ですが条文=要件を頭に叩き込むためと言っても過言ではありません。
問題を解説してみましょう。
1.土地に対する抵当権設定当時、建物については保存登記がなされていない場合にも、建物が存在していれば法定地上権は成立する
A.建物が存在していればよく、登記は必要ない。登記は要件に入ってませんでしたね。つまり保存登記がなされていなくとも建物が存在していれば地上権は成立します。
2.建物のみに抵当権が設定された後、抵当権実行前に土地が譲渡された場合にも、法定地上権は成立する。
A.後日土地が譲渡された場合でも、法定地上権は成立します。土地と建物の一方または双方に抵当権が設定されていて、抵当権徹底当時は同一人物の所有者だったわけですから要件を満たします。その後、土地だけ譲渡されても問題ありません。
3.土地に対する抵当権設定当時存在した建物が火災で消滅し、抵当権実行前に同様の建物が再築された場合には法定地上権は成立しない。
A.抵当権の実行までに再築されていれば問題ありません。抵当権設定当時に建物が存在していれば、その後、火事などで焼けて滅失し再築したり、朽廃などによって改築された場合でも、新しい建物のために法定地上権が成立します。→何故なら抵当権設定当時には要件を満たしているからです。ー 正解肢
4.土地と建物の双方に抵当権が設定されたのち、双方が別々の物に競落された場合にも、法定地上権は成立する。
A.同時に競落されても、一方だけが落札されても、法定地上権の成立要件には関係ありません。
このように1肢づつ丁寧に検討する事が重要です。最初は遅くて時間がかかるかもしれませんが2回目3回目と同じ問題をやっていると段々スピードがあがります。そのうち成立要件がぱっと頭に浮かんでくるようになるのです。民法を知らない初学者こそこういう勉強をしていただきたい。一周やってからテキストを流し読み→また問題検討に戻るの繰り返しです。そんな時間ない、宅建だけ合格すればいいんだって人もどちらにしても要件など知らないと本当の答えは導き出せません。
ざっとでいいので何度も何度も問題から要件を追っていけば力になるでしょう。逆に何度やっても宅建に受からない人はこの基礎が全然できてません。なので、過去問1で出てきた保存登記が必要かという論点に対して迷ったりして時間を無駄にするのです。要件を知っていればこの時点で1は除外されることがわかります。ということは残り3つから正解を検討すればいいということになるのです。
宅建の勉強法で大事なことは判例です
宅建の勉強法でもう一つ大事なことがあります。それは判例。出題されるときは必ず、民法の規定、及び判例によればといった形で出題されます。でも安心して下さい。判例を一字一句覚える必要はありません。過去問の解説を読みながら勉強していれば自然と判例は覚えます。宅建で勉強すべき判例は限られるので重要な判例はおのずと過去問と一緒に出てくるのです。できれば過去問の解説に詳しい判例の記述があるといいでしょう。なければネットで調べる事ができます。
宅建の勉強法に悩んだら通信講座を受講する手段もある。
一人ではどうしても不安だという場合には通信講座などを利用して宅建の勉強法を模索することだってできます。基本的に宅建などは独学でも十分ですが、上位資格はそういうわけにはいきません。宅建はあくまで通過点に過ぎないとお考えの方は通信講座や通学で資格スクールを選んではいかがでしょうか。
オススメの過去問
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おススメの過去問は出る順宅建士ウォーク問です。俺はこれで合格しました。過去問と六法しか見てません。テキストはネットで済ませてそれでもわからない部分は動画を検索してなんとかしました。ウォーク問の良い所は解説がしっかりしているところだと思います。まさに過去問である程度の事は補完できるといった感じでしょうか。
六法は登記六法を買いましたが司法書士受験用です。但し、当時は初学者でしたので皆さまと土俵は同じだったと言えるでしょう。受験期間は3ヵ月です。ひたすら過去問と解説の往復、かつ、わからないところはネットで検索です。受験回数は1回 割れ問があったので正確な点数はわかりませんが合格点数はおそらく42点だったと思います。
その年、管理業務主任者も同時合格しております。疑問点等の主な検索先は
解説がわかりやすく、その年の免除問題の1つがずばり的中し1問いただきました。宅建の勉強法を研究するにはみやざき先生のブログは欠かせない存在だと思います。皆さんそれぞれ宅建の勉強法を確立されているものと思いますが、少しでも楽な方法で効率よく得点していただきたいですね。何年も受験するのはもったいない、せっかく勉強するのであれば早い段階で自分なりの宅建の勉強法を確立し、1発合格が望ましい資格だと思います。
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