日ロ首脳会談 北方領土問題「新アプローチで交渉を」

日ロ首脳会談 北方領土問題「新アプローチで交渉を」
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ロシアを訪問しているの安倍総理大臣はプーチン大統領との首脳会談に臨み、北方領土問題を巡って双方に受け入れ可能な解決策の作成に向けて、新たな発想に基づくアプローチで交渉を加速していくことで一致しました。そして、来月に事務レベルの平和条約交渉を、ことし9月にロシア極東のウラジオストクで再び首脳会談を行うことを確認しました。
ロシア南部の保養地ソチを訪れている安倍総理大臣は、日本時間の6日午後10時前からおよそ3時間にわたり、プーチン大統領との日ロ首脳会談に臨みました。会談は少人数会合から始まり、通訳だけを交えた首脳どうしの会談を挟んで、大人数のワーキングディナーも行われました。
この中でプーチン大統領は、日ロ関係について「やはり経済が最も重要だ。難しい政治状況のなかであってもロシアに進出する日本企業を歓迎したいし、日本企業のビジネスを支援したい」と述べました。
これに対し、安倍総理大臣は「北方領土問題を含む平和条約交渉の停滞を打破するためには、2国間の視点だけでなくグローバルな視点を考慮に入れ、未来志向の考えに立って交渉を行っていく新しいアプローチが必要ではないか」と提案しました。
そのうえで安倍総理大臣は、先送りになっているプーチン大統領の日本訪問について、さまざまな分野での交流を推進しながら、訪問の際に成果が出せるよう準備を進め、最も適切な時期に実現したいという考えを伝えました。
そして両首脳は、北方領土問題を巡って双方に受け入れ可能な解決策の作成に向けて、新たな発想に基づくアプローチで交渉を加速していくことで一致しました。さらに両首脳は、事務レベルの平和条約交渉を来月行うこと、ことし9月に極東のウラジオストクで開かれる国際経済フォーラムに合わせて再び首脳会談を行うこと、そして7月のASEM=アジア・ヨーロッパ首脳会議など、今後続く国際会議に合わせて首脳会談を重ねていくことを確認しました。
また、安倍総理大臣がロシア経済の発展と国民生活の向上に向けて、エネルギー開発や極東地域の産業振興など8項目の協力プランを提案したのに対し、プーチン大統領は「このようなプロジェクトはぜひ実現していきたい」と期待感を示しました。
今回の会談について、同行している政府高官は「日本政府の平和条約交渉に臨む基本的な姿勢は変わっていないが、安倍総理大臣は北方領土問題について、かなり踏み込んだ発言をした。ただ、交渉中のことでもあり詳細は控える」と述べました。