『ゴッドタン』佐久間宣行が語る――第2回他番組では決して観られない、芸人の”新たな扉”の開き方
テレビ東京深夜の人気バラエティー番組『ゴッドタン 』(テレビ東京系)。プロデューサーであり演出を手がける佐久間宣行氏に、前回に引き続き、出演者の発掘方法や面白さを引き出す演出の秘訣を聞く。今回は、面白さが世に伝わっていなかった芸人の発掘や、既存の人気芸人の新たなキャラクターの引き出し方などに、アプローチした。(以下敬称略)
谷桃子さんとの出会いは事故…谷さんには谷さんの人生がありますから
――素人キャラが活躍する一方、長らくテレビで活躍していなかった芸人さんにも陽の目を当てていますね。お笑いコンビのアルファルファ(東京03の飯塚悟志と豊本明長が結成していた)もそうでした。
佐久間:そうですね。彼らの面白さはずっと観ていたのでようやく…ですね。最近でいえば、こないだ出演したマシンガンズ(注/「この悩める中堅芸人知ってんのか?」回)とか、今は中堅でやっている人たちをなんとか出したいなと思っています。今度また、そういう企画をやるんですけど。
──どんな方々が出てくるんでしょう?
佐久間:たとえば、「三拍子」とか「エルシャラカーニ」とか。なんとかしてあげたいですね。両方とも、いっときはキャーキャー言われてね。エルシャラは山本しろうさんの壊れた漫才が面白いって言われた時期がありましたけど。
──そう考えると『ゴッドタン』という番組は、いろいろな芸人の再生工場でもあるのでしょうか?
佐久間:そうですね、あまりそういう場はないですからね。『ゴッドタン』の現場のいいところは、こないだオンエアでも矢作(兼)さんが言ってたんですけど、売れてる芸人だけでやってるわけじゃない。芸人さんじゃない、海の物とも山の物ともつかない素人みたいな人も出てくる。そういうときって、本人が極度に緊張していたりしてね、場がシーンっていう空気になるんですよ。あれ?これどうすんの?みたいな。でも、ADもディレクターも、カメラマンも、決して「なんだよ!」みたいな感じにならないんですね。面白くなるまで、普通に待ってあげる。ずっと同じメンバーでやっていて、みんな付き合いが長いし、お笑いが好きなんですよ。だから、ぜんぜん大丈夫。
──あったかい現場ですね。それがあるから、変わった人が花開く。芸人さんに対しても、他番組にはない切り口で登場しますね。「上品芸人ハメ外しクラブ」の企画での、”上品”な「麒麟」の川島明さんとか。その辺は、「この人のこういう面を出してあげればハねる」と狙っていらっしゃるのでしょうか?
佐久間:まずは、とにかく話し合います。例えば、「上品芸人ハメ外しクラブ」の企画に博多大吉さんや川島明さんが出演する場合、二人がストレスがたまってるんじゃないかって話から、そこを出せるようにしようとか。ジャルジャルとか笑い飯とか、ああいう人たちの新しい切り口が見つからなくて、なかなかおいでいただかなかったんですけど、例えば、最近オンエアされた「ワレモテ芸人会議」(注/我々では持て余してしまう芸人、略して”ワレモテ”)にそのまま企画としてなったり。他の番組と同じようないじりは、なるべくしないようにしようっていうルールにしていますね。
──そういう意味では、予想のつかない破壊力をお持ちのグラビアアイドルの谷桃子さんは、他番組に行きようがないのでは?と思われるほどのインパクトですが、最近はあまり出ていませんね。
佐久間:谷さんの人生もあるから(笑)。谷さんがどこへ行きたいのか。31歳ですよね、今。20代のとき、普通の企画で呼んだらあんな人がきたっていう。たまたま偶発的な事故みたいな出会い方をして。実は、僕はスタジオでは谷さんと会わないようにしているんです。谷さん専用のディレクターがいて、谷さんは彼としか打ち合わせをしないで、本番に現われて、めちゃくちゃやって、いなくなるという具合ですね。僕は谷さんとちゃんとしゃべったこと一回もないんです(笑)。ああいうめちゃくちゃなキャラクターはたまにやるのは楽しいだろうけど、谷さんがこのあと芸能界でもうちょっと落ち着いてやりたいといったら、お呼びするのが悪いから呼ばない。谷さんの大切な人生ですからね(笑)。