「現日露首脳間で解決を」新アプローチ
【ソチ(ロシア南部)前田洋平、真野森作】安倍晋三首相は6日、北方領土問題について「未来志向の日露関係を構築する中で、プーチン大統領と2人で解決する考えで一致した」と記者団に述べ、現首脳間で解決を目指すと表明した。プーチン氏との会談では、領土問題の解決に向けて「新たな発想に基づくアプローチ」で精力的に交渉する方針で一致。安倍首相の自民党総裁任期は2018年9月で、それまでに交渉進展の道筋をつけられるかが問われることになる。
会談で安倍首相は「これまでの発想にとらわれないアプローチで停滞を打破し、双方の立場の違いを克服すべきだ。賛同してくれるなら2人きりで話をしよう」と提案。両国の随行者が部屋から出て行くなか、驚いた表情で最後まで残ろうとしたラブロフ外相に対し、プーチン氏は部屋を出るよう促す仕草を見せた。両首脳は通訳を交え、約35分間話し合った。首相は周辺に「きょうは北方領土問題のアイスブレーク(砕氷)だ」と手応えを語った。
日露双方は両首脳だけの会談の内容や「新たなアプローチ」の詳細について明らかにしていない。「川奈提案」や「イルクーツク声明」のような交渉の方向性を示した可能性があるほか、首相が提示した8項目の協力計画の具体的な内容を説明したとの見方もある。
ソチでの首脳会談では、18年を「日本におけるロシア年」と「ロシアにおける日本年」にすることも確認した。プーチン氏はこの年に次期大統領選を迎え、安倍首相も同年9月に自民党総裁任期が満了となる。プーチン氏は再選を目指す可能性が高いが、総裁任期は党則で連続2期6年と決まっている。任期延長とならない限り、現首脳間で領土問題の解決を目指すのであれば、18年が期限となる。
安倍首相が9月に極東のウラジオストクを訪問し、再び首脳会談を行うことも決まった。第2次安倍政権の発足後、プーチン氏の来日は実現しないまま、首相は4回目の訪露を果たすことになる。日本政府高官は「四島の帰属を確認し、平和条約を締結する基本姿勢は変わらない」と強調するが、「新たなアプローチ」でロシア側との溝をどこまで埋められるかが焦点だ。