トランプ氏指名獲得 米メディア「ほぼ確実な情勢」

トランプ氏指名獲得 米メディア「ほぼ確実な情勢」
k10010508981_201605041919_201605041924.mp4
アメリカ大統領選挙に向けた野党・共和党の候補者選びは、2位につけていたクルーズ上院議員が撤退を表明し、アメリカのメディアは、不動産王のトランプ氏の指名獲得がほぼ確実な情勢になったと伝えています。
アメリカ大統領選挙に向けた候補者選びは、3日、中西部インディアナ州で予備選挙が行われました。
このうち共和党ではトランプ氏が勝利し、アメリカのABCテレビによりますと、トランプ氏は今回の勝利で代議員の獲得数を現時点で1049に伸ばし、指名獲得に必要な過半数の代議員数1237に近づきました。
一方、2位につけてきたクルーズ上院議員は「勝利の可能性があるかぎり戦い続けると言ってきたが、残念ながらその道は閉ざされてしまった」と述べ、選挙戦からの撤退を表明しました。
これを受けて、共和党の全国委員会のプリーバス委員長は「トランプ氏が共和党の大統領候補に指名される見通しになった。民主党のクリントン前国務長官に勝つため、共和党は結束しなければならない」とコメントしました。
3位につけてきたオハイオ州のケーシック知事は選挙戦を継続する構えですが、アメリカの主要メディアは「トランプ氏の指名獲得がほぼ確実な情勢になった」と伝えています。
トランプ氏は地元ニューヨークで演説し、「クルーズ氏が撤退を表明するとは思っていなかった。彼は強敵だった。これからはクリントン氏を倒しに行く」と述べ、11月の本選挙に向けて意欲を示しました。
今後は、トランプ氏に反発する共和党の主流派や保守派が、本選挙に向けてトランプ氏のもとに結束できるかが焦点になります。
一方、与党・民主党はサンダース上院議員が勝利しましたが、敗れたクリントン前国務長官も代議員を獲得し、指名獲得に近づいています。
クリントン氏は「トランプ氏を大統領にしてはならないことに賛同するならば、支援してほしい」と訴え、今後、本選挙を見据えた2人の争いが本格化する見通しです。

米メディアの伝え方

トランプ氏がインディアナ州の予備選挙で勝利したことを受けて、アメリカのCNNテレビは「トランプ氏が代議員の過半数を確保するのを妨げられる対立候補はいなくなった」として、トランプ氏の指名獲得がほぼ確実になったと伝えています。そのうえで「政治経験が全くないトランプ氏が、既存の政治家に対する有権者の強い不満を吸収して共和党を乗っ取ったという、驚がくの事態だ」と論じています。

有力紙のニューヨーク・タイムズも、トランプ氏が「共和党の事実上の候補者になった」と伝えたうえで「アメリカ政治の歴史上、異例の事態だ。トランプ氏は有権者の不満に訴え、知名度を巧みに利用して、計画的にベテラン政治家の足元をすくった。共和党の主流派も、民主党も、トランプ氏を見くびっていた」と指摘しています。

有力紙のワシントン・ポストは「トランプ氏に反対する共和党員たちは、敵だったはずのクリントン氏を支援することになっても、トランプ氏の当選を阻止するべきかどうか検討し始めている。一部の共和党員にとっては、権力をどう使うのか予測不可能なトランプ大統領より、同じ土俵で論戦を交わせるクリントン大統領のほうが、ほっとするはずだ」と分析し、今後の党大会や本選挙に向けて、共和党内部でどのような攻防が繰り広げられるか注目されると伝えています。

日本側の反応

岸田外務大臣は、訪問先のラオスで記者団に対し「アメリカ大統領選挙やアメリカ大統領の存在は国際社会で大きな影響力を持っていると思うので、注視している。誰が新しい大統領になっても、日本としては大切な日米同盟関係を引き続き維持、発展させていきたい」と述べました。
また、自民党の高村副総裁は、訪問先の北京で記者団に対し「トランプ氏の日米同盟に関する発言への支持が根づいていることは懸念要素だ。誰が大統領になろうとも、日米同盟は、双方の利益だけでなく、アジア太平洋地域全体の利益になるということを確認し続けられるよう、今まで以上の努力が必要だ」と述べました。