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 九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)について、運転の差し止めを認めなかった福岡高裁宮崎支部の決定に対し、住民側の弁護団は8日、最高裁の判断を仰ぐ特別抗告や許可抗告をしないと明らかにした。

 弁護団は「手続きには法律上かなりの制約があるため、必ずしも有利、適切とは言えない」としている。今後は鹿児島地裁で続いている民事裁判で運転停止を求めるという。

 6日の決定で高裁支部は「合理的な予測を超えた水準の安全性確保を求めることは社会通念ではない」とし、地震への備えを定めた新規制基準や原子力規制委員会の審査などに不合理な点はないと判断。運転差し止めを認めなかった鹿児島地裁決定を支持し、住民側の即時抗告を退けた。

 弁護団は「東京電力福島第一原発事故が招いた重大な事態と今も続く深刻な被害を何ら省みることなく、政府の原発稼働推進政策に追随するもので、到底認めることはできない」と決定を批判。「廃炉を目指して闘い続ける」と表明していた。

 ただ、特別抗告や高裁が認めた場合に申し立てる許可抗告は、決定に憲法解釈の誤りなどがある場合に限られる。森雅美弁護団長は8日、「仮に抗告しても新たな証拠が出せるわけではなく、門前払いになる可能性もある」と説明。「最高裁が抗告を退けた場合、各地の裁判官が誤った前例にしてしまう可能性もある」と話した。(鎌田悠)