2016-05-07

#GiveElsaAGirlfriendについて~公式凸ってそんなに悪い?

#GiveElsaAGirlfriendに関するいざこざについて考えたことがあるのでまとめておこう。

こういうことがありました(省略)。

http://pintrenerd.hateblo.jp/entry/20160507/1462553473

上記のブログは大変うまくまとめられていて、エルサが同性愛者になってほしくない理由がよく分かります

それと同時に、それ以上のものとして #GiveElsaAGirlfriend派に反論するのはちょっと違うんじゃないの?という。

それ以上のものという意味は、つまりはこの論争って、ハリーポッターで言うところの「ハーマイオニーはロンとくっついてほしい!」VS「ハリハーでしょ!」的なものであって。

それを、「ハーマイオニーが最終的にハリーとくっつくのは男は特別な才能を持っていないと魅力的ではないというメッセージになってしまうからよろしくない!」とかっていうのはおかしいっていうか、おかしくないけど、すっごい違和感がある。


重ねて言いますけど、上記のブログはたぶん「ちょっと待てぇええい!世の中にはハリハ―派もいるんだからロンハーがすべてと思わないでよねローリング原作者)!」みたいな内容で、それ以上の意味は含んでないと思いますけど、ツイッターとか見ていると明らかにそれ以上の意味を含んで #GiveElsaAGirlfriend を批判しているものもあったので、その違和感自分なりに整理して、今後の糧にしたい。

まり、論を立てる時に陥りがちな、自分の好きなもの肯定するために、あたか相手倫理的によろしくないみたいな理屈を持ってきて否定するのってよくないと僕は思う

最終的には日本公式凸がものすごくタブー視されるっていうところが発見でした。


1)「エルサは恋愛したがってないし恋愛しそうでもないのに、恋人押し付けるのはいけない!」

これよく見ますね。

これは現実人間に言うなら全くその通りだと思うのですが、エルサはキャラクターであって、この世に存在しないのですよね。

この世に存在しないキャラクター恋愛したくないという感情勝手に想定し、その想定を批判する人(=#GiveElsaAGirlfriend)を批判するというのは意味分からん


2)「エルサがレズビアンだという描写はなかったのに、同性愛にもっていくのはいけない!」

だいたい上のと一緒なんですけど。

わざわざ別に書いたのは、原作においてはエルサのセクシャリティについては語られていないというのを確認するためです。

レリゴー同性愛メタファーかもしれないけど、それはあくまメタファーであって、エルサがレリゴー(=カミングアウト)したのは同性愛じゃなくて魔法です。

同じことを言います魔法同性愛メタファーかもしれないけど、エルサのセクシャリティについては何も語られていないです。

からレズビアンだという描写もなかったですが、アセクシャルだとも言ってないし、ヘテロだとも言ってない。作品から分かるエルサのセクシャリティは「服装行動様式女性らしい」くらいのものです。

作品の本筋を考えても、次作でエルサがレズビアンになったとしても、特に矛盾はないのにもかからわず、あたか矛盾があるかのように批判するのは上の1)と似ていますね。


3)「エルサがレズビアンになったら、アセクシャルの抑圧になる」

何言っているんだ本当。

同性愛肯定アセクシャル否定っていうのは論理的にも現実的にもおかしい。

おそらくこの批判をする人の中で、エルサはアセクシャルで、そのアセクシャルの人に同性愛押し付けるのはいけないということになっているっぽいんですが、エルサのセクシャリティ不明であるのは1)と2)で言いました。

そしてそういう意味で、アセクシャルのエルサを抑圧するなという意味で言っているならまだ分かる。

からないけど分かる。

でも、もっと過激に推論を推し進めて、「エルサがレズビアンになると愛の規範が強まって世の中のアセクシャルが抑圧される」と言っている(人もいる)。

これはおかしな推論で、それならばレズビアンが登場する映画アセクシャルを抑圧しているのかと。

レズビアンが登場する映画は単にそういう映画なのであって、特別差別的なシーンがない限り、他のセクシャリティ否定するものではないはずです。

自分がエルサはアセクシャルであってほしい/恋人ができないでほしいと思っているだけなのに、アセクシャルという弱者を持ち出して、#GiveElsaAGirlfriendが倫理的に悪いみたいな言い方するのってかなりアレと思う。


4)「同人誌でやれ」

これは意味不明すぎて番外編です。

ここでは、Dが"公式で"同性愛者のキャラクターを登場させることについて議論しているので、まったく的外れというか、土俵が違いますわな。


5)「エルサがレズビアンでもいいけどそれをDに求めるのは許せない。原作者が考えた末、レズビアンになるのは良いけど」

こ、……公式凸ってそんな悪いことなの……?

ファンが求めて同性愛者になるのと、原作者が考えた末に同性愛者になるのにはそんなに違いがあるのでしょうか。

この理屈で行くと、ファンが求めてエルサがアセクシャルになることも当然反対になり、ファンが求めてエルサがヘテロになることにも反対であり、……つまりは、ファン要望原作に反映されるということ自体に反対と。

#GiveElsaAGirlfriendが具体的にどのよな行動をしたのかは存じ上げませんが、せいぜい「エルサがレズビアンになってくれたら嬉しいなあ」と発言した程度ではないのでしょうか。

エルサをレズビアンにしなきゃ死んでやる!とか言ったのでしょうか。

ファン原作者に「こうなってくれたら嬉しいなあ」という程度の願望を伝えることはそんなにも悪なのか。分からん

適当にまとめましたが、行きつくところは「原作者要望を伝えて自分の好きなようにしてもらおうとするのムカつく!」みたいなものだなと思いました。

ならば、あなた自分の願望を伝えれば?という話なのですが、そこにアセクシャルとかを持ち込んでくるのがよく分からないです。

この手の話をするときに2つの視点を明確に分けないといけないと思います

1:自分アナ雪にどうなってほしいか。

2:アナ雪がどうなることが社会にとって望ましいか。

この2つが混在すると、とってもたちが悪い。(今回は混在しやすトピックだとも思いますけど)

1つ目は、単に個人の願望の問題ですよね。それこそ、ロンハーかハリハ―かみたいな世界

今回のエルサの話も私はこっちだと思っていて、それが「レズビアンであるがゆえに、2つ目の視点が混在してしまったのだと。

2つ目は、自分がどういうエルサを望むかとは別に、どういうエルサであれば社会にとって望ましいかという問題

もちろん、何が社会にとって望ましいのかということ自体、とても難しい問いです。

でもこの2点目のみを明確に考えるならば、「プリンセス公式同性愛であることは社会にとって良い影響を与えるのでは」という見方は当然です。

今の社会を考えれば、それがアセクシャルの抑圧になるとかっていうよりも、まず明確に同性愛者のキャラクターが生まれることの意義の方が大きいだろうと思います

(おそらく、現在同性愛への反対者もいる社会では、Dはエルサを同性愛者にはできないと思いますが、もしやったとしたらそれは意味のあることですよね)

ここで、「それにエルサを使うなよ」というのは、1つ目の視点(自分が求めるエルサ)が入ってきているので反論になりません。

フローズンという大ヒット作品の続編で、しかプリンセスの一人がやるからこそ意味があるので。


最後まとめですけど。

今回疑問に思ったのは、日本のこの公式凸許せねぇみたいな文化はどこからきたのか?っちゅー話。

海外オタクドラマの中のカップリングも、本人凸したりするじゃないっすか。

それが良いとか悪いというのではない(行き過ぎるとやっぱ迷惑だろうし)けど、この差はなんなのだろうね。これについては全く見当も推論もできない情報が足らぬ。

後、ツイッターでなんかそれっぽく論理的っぽく知的っぽく誰かを批判しているツイートを、リツイートする前に一回自分で考えてみているのかな?って思う。

別にツイッターってそういうツールと言われればそれまでだし、別に人それぞれなんですけど、いろんな論理を組み合わせて気に入らない意見論破するっていうのはあんまりきじゃないなあ。

「俺はエルアナが好き、お前はクリアナが好き。俺とお前は別の意見を持っているけど、ただそれだけのこと。」っていう方向の方が、喧嘩するより楽しくないですか。


それからそれからアナ関係でこういうのが話題になった時にいっつも、インセストタブーを考えるのですけど。

たぶん、elsanna shipperでも同性間の近親相姦公式で描かれるってなったらちょっと態度変わってくると思うんですよね。

私は近親間の恋愛についてどう捉えるべきかまだ分かっていません。

現在、「姉妹で愛し合うなんてあり得ない!気持ち悪い!」って思うとしたら、数十年前に「同性で愛し合うなんてあり得ない!気持ち悪い!」って言ってた人たちと何が違うのでしょう。

歴史的には近親間で子孫を増やしていたときもありますしね。

これについては今回語りませんでしたが、議論にも上がらず、存在無視されているという点からすると、どんなセクシャルマイノリティよりもさらに抑圧されていると言える気もします。


あー、俺個人的にはオラフボーイフレンドができればいいなぁ~っていうツイート一番共感した~。

おしまい

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