良く考えると、KOF'95が出てから21年経っている訳だし、KOF'96から20周年なわけです。びっくりですよね。
あれから20年経っているので、20年くらい前の話をしたいと思います。
皆さんよくご存知の通り、92年くらいから2000くらいまでの格闘ゲーム全盛期において、カプコンとSNKは「2D格ゲー二大メーカー」の地位を欲しいままにしていました。セガがバーチャで、ナムコが鉄拳で3D格ゲーの世界を切り開くまでは、格ゲー業界全体を見渡してもこの二大メーカーに比肩し得るメーカーはなかったと思います。
カプコンには、勿論ストIIシリーズがあり、ヴァンパイアシリーズがあり、X-MENやマヴカプがあり、マッスルボマーがあり、ウォーザードがあり、ストZEROがありました。(あとジャス学やサイバーボッツも)
SNKには、勿論餓狼があり、竜虎があり、サムスピがあり、KOFがあり、月華の剣士がありました(あと風雲黙示録も)。
ただ、カプコンの格ゲーを遊んでいる時の感覚と、SNKの格ゲーを遊んでいる時の感覚は、随分と異なりました。メーカーが違うのだから当然と言えば当然なのですが、カプコンとSNKでは、恐らく対戦格ゲーについてのスタンスであるとか、ノウハウといったものについても随分と違ったのだろう、と思います。
私自身は、当時、その違いをこんな風に捉えていました。つまり、
「「そのキャラクターらしさ」と「対戦ゲーとしてのゲームバランス」を天秤にかけた時、前者をより重視するのがSNKで、後者をより重視するのがカプコン」
だったのではないかなあ、と。
ここでいう「対戦ゲーとしてのゲームバランス」として、私は次の四点くらいを重視しています。
・キャラクター間の性能格差が、ゲームとして致命的な程開いていない。(いわゆる10:0や9:1の組み合わせがない、ないし殆どない)
・「これさえやっていれば勝てる、戦える」といったキャラクター固有の安定行動が少ない。
・「これさえやっていれば勝てる、戦える」といったシステム固有の安定行動が存在しない。
・操作やコマンド入力に習熟するのが極端に難しくない(複雑なコマンド入力を身に着けているか身に着けていないかで大きな差が生じない)
最初期のストII無印とダッシュ(あと微妙ですがターボ)を除くと、ストIIシリーズはどんどん「対戦ツールとしてのバランス」を突き詰める方向に進んでいった、ように私には思えます。勿論キャラ差による有利不利はありますし、Xの豪鬼みたいな例外もいたことはいたんですが、ゲーム全体として観ると、対戦ゲームとしてのバランス、特にキャラクター間の対戦バランスについては、かなり気を使った調整がされていたような印象があります。
「極端なキャラ差」というものは、「そのキャラクターの特性上、どうしようもなく発生してしまっている」キャラ差が多かったように思います。(例えばヴァンパイアにおけるアナカリス対モリガンみたいな)
一方のSNKですが、「まず何よりも、そのキャラクターが「らしい」こと」を優先して作られていた、ような印象が私にはあります。プレイヤーがキャラクターを操っていて、ゲームに没入出来るかどうか。かっこいいキャラクターがかっこよく活躍出来るかどうか。可愛いキャラクターが可愛く動かせるかどうか。
今更いちいち言うまでもなく、SNKの「キャラ作り」の上手さは業界でもトップクラスのものでした。KOFの京や庵、サムスピのナコルルや閑丸、その他アテナやら舞やらギース様やら響やら、SNK格ゲーの人気キャラクターは枚挙に暇がありません。
勿論シリーズによっても色々違うのですが、SNKの格ゲーは、実に実に「そのキャラクターが「らしい」動き、戦い方をする」のです。ドット絵の一つ一つ、必殺技の一つ一つが、全てそのキャラクターの魅力を活かす方向に統一されている、とでもいうのでしょうか。ナコルルや半蔵はとにかく動かしているだけで魅力的でしたし、テリーやリョウは「まさにそのキャラクターのイメージ」という技ですべてが統一されていました。
その結果としてなのかどうか、SNKの格ゲータイトルは、対戦ゲームとしては「極端な」作りになっていることが多かったような気がします。勿論対戦ゲーとして調整されていない訳ではないんですが、キャラ差についても非常に苦しい組み合わせが多くみられましたし、時にはシステム自体が極端な作りになっていることもありました(一時期のKOFのストライカーシステムとか)
SNK格ゲーに一般的に見られた超必コマンドの複雑化なんかも、その辺を反映した向きがあったのかもしれません。アレは、「対戦ゲームとしての面白さ」というよりは、「かっこいい必殺技を頑張って出す気持ちよさ」を明らかに重視したものだったと思います。
SNK格ゲーの中で最も対戦ツールとしてバランスがとれていたゲームって、どれでしょう?
私自身は、恐らく「餓狼伝説スペシャル」がそれにあたったのではないか(次点で初代サムスピ)と思うのですが、そのガロスペですら、上位のジョー、キム、ビリー辺りと、下位のベア、アクセル、ダック辺りの性能差は、覆すことがかなり難しいものでした。勿論キャラクターが多かった故の調整のしにくさというものは当然あったのだろう、とも思いますが。
で、更にそれが如実に反映されていたのがサムスピとKOF、特にKOF'95だったのではないかなあ、と私は思うのです。
誤解を招かないように言っておきたいのですが、私KOF'95はすげー好きでした。レトロゲーマーとして、サイコソルジャーチームと怒チームをチーム単位で使用して、サイコボールから対空を狙ったり、ハイデルンのムーンスラッシャーで相打ちを狙ったりするのが好きでした。
ゲーメストを片手に色々なテクニックを突き詰めようとして、例えばアテナの投げ⇒超必入力で大ダメージ投げを狙ったり、ケンスウで大キックを振り回したりもしていました。
ただ、隠しキャラが使えるコマンドが一般に広まったこともあって、対戦は正直本当にキツかった記憶があります。通常キャラの中でも人気の京と庵が非常に強力なキャラクターであることも手伝って、「京・庵・ルガール」であるとか、「ハイデルン・庵・京」といったお手軽エディット強キャラチームがくると、試合展開が非常につらいのです。
勿論、対戦である以上は勝つことが正義であり、強キャラがいるなら自分で使え、というのは当時も良く言われるところではありました。ただ、それに対し、「事実上、対戦で勝とうとおもったら5人くらいのキャラクターしか選択出来ないのはどうなのか」とか、「キャラクターの魅力が非常に高いSNKゲームで、好きなキャラクターを使えないのはどうなのか」といった反論も、当時一般的な反論だったと思います。ゲーメストの読者コーナー辺りでは実によくみたお話でありました。正直チンで京相手にやることがないんですが。
確かに、京や庵はスタイリッシュであり、しかもそのスタイリッシュな技の数々が実に「らしい」のです。その点においてなんら文句はありません。
ただ、その「かっこよさ」が、余りにも対戦ゲームとしてのバランスに優先してしまっていた、というのは当時のKOFプレイヤーの共通認識だったのではないでしょうか。正直その点だけなんとかなっていれば、KOF'95の対戦はもっともっと盛り上がっていた気がしてなりません。
ちなみに、KOFは「'95でバランスがおかしなことになって、'96にも色々アラがあって、'97と'98で超絶劇的に対戦格ゲーとしての完成度が改善されて、'99から物凄い勢いで斜め上の方向にすっ飛んでいった」という印象があります。多分、当時リアルタイムでKOFを遊んでいた人なら、上の印象は割りと一般的なものだったのではないかと。
サムスピもその辺がかなり極端なタイトルでして、初代サムスピはそれでもなんだかんだでバランスが取れていたとおもうんですが、それ以降のサムスピはかなり世紀末な感じだったように思います。特に真と斬紅郎。真サムやばい。ぬいぐるみ変化とかいって喜んでる場合じゃない。何故右京の性能があそこまで気が狂ったことになっていたのかよくわかりません。斬紅郎は、殆どのキャラが頭おかしいアクションをもっていたのでまあ全体としてはアリだったような気もします。
と、ごちゃごちゃと書いてきましたが、結局私が言いたいことは、
・SNK格ゲーは対戦ツールとしてのバランスよりもキャラ立てを重視されていたような気がする
・けどなんだかんだでKOF'95面白かったよね
・アテナかわいい
・'95アテナが好きなんですが、ボイスだけは'94の気の抜けた感じが好きでした
・舞の露骨な胸揺らしについては色々といいたいことがあるんだけど項を改めます
という感じになるわけです。よかったですね。
今日はこの辺で。