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アラサーゲイが漫画の感想や雑記など

頭のねじを回して哲学するマンガ『ねじの人々』【漫画・感想】

マンガ 感想・レビュー・分析・批評

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こんにちは、錠前(@jomae_yasushi)です。

若木民喜『ねじの人々』を読みました。若木さんといえば、京都大学は文学部哲学科卒業の漫画家です。現在は週刊少年サンデーにて『なのは洋菓子店のいい仕事』を連載中で、今回紹介する『ねじの人々』は裏サンデーでの連載作。

「漫画界のルールと伝統をぶちこわす」と宣言する裏サンデーっぽいな〜という一作で、いい頭の体操になってかつ面白かったので、さっくりその魅力をご紹介します。

※この記事はネタバレを含みます

考えると頭にねじが生えてくる

主人公・根地大和はごく普通の高校生。彼はあるとき自分が自分であることに疑問をもったことから、考えることに取り憑かれるようになってしまいます。

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〔若木民喜『ねじの人々』より〕


自分はどうして自分なんだ? どうしてここにいる? 何のために? ……こんな感覚を経験したことは、誰でも一度はあるのではないでしょうか。私自身、大人になってからはほとんどないものの、子どもの頃はよくこんなことを考えては気持ち悪くなっていました。

自分の存在に疑問をもち、「ボクは、なぜボクなんだ…?」と考え始めた根地の頭には、突如としてねじが生えてきます。
 

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〔若木民喜『ねじの人々』より〕


『ねじの人々』では、考えている人間を表す漫画表現としてこのねじが用いられ、根地の他にも数人の「ねじ人間」が登場します。かわいくてキャッチーで、ナイスアイデアですよね。

考えている最中にはねじが回転し、なおかわいいです。

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〔若木民喜『ねじの人々』より〕

 

「考える」って不安だけど面白い

「哲学」とはすなわち「自分を知ること」。そして「自分を知ること」はつまり「自分の輪郭」がどういう形であるかを知ることだと作者の若木さんは言います。なぜ自分はこう考えるのか。わかっていることと、わかっていないことの境界線がどこにあるのか。それを知ることが彼にとっての「哲学」であり、考える意味はそこにあると。

本作は作者のそうした考えに則って、個人的な内省を中心に描かれた漫画なので、とにかく「考えること」にフォーカスしています。学校の試験に直接は役立たないかもしれないですが、「考えること」の意味と、その先にある真理に迫ろうとしていて、ただ単に哲学者の名前や彼らが唱えた考えの解釈を暗記するよりも、よっぽど人生の役に立つであろう内容がてんこ盛りなのです。

学生時代の哲学の講義にいい思い出がない人にこそ読んでほしいな〜と思います。私も哲学はあまり得意な方ではなく、抽象的で小難しいことを考えているとすぐに頭からブスブス煙が出てしまうタイプなのですが、そんな人間でもキャラクターたちの思索・対話を丁寧に追っていくことで作者の言わんとするところの一端を理解でき、己の思索を一段階高いところまで引き上げてもらったような気がして、「おお…!」とアホっぽい反応をかましてしまいました。

 

何回も読み返して「真理ってそういうことかも…!?」とハッとさせられたのがこの場面。知的好奇心煽られまくりでした。

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〔若木民喜『ねじの人々』より〕


客体的真理と主体的真理が取り上げられたエピソードで、作者が『神のみぞ知るセカイ』を描いている際に一時期到達することのできた、真実に近い「超越的な答え」について根地と対話している場面です。

「答え」は個人的なものだが、個人にとっての真実を突き詰めることでたどり着くことのできる突出した答えは富のように溢れ出し、他の者にも与えられる。すなわち主体的真理と客体的真理は同化していくだろう…というようなお話で、もうめちゃくちゃ面白かったです。

この説明だけだと何のこっちゃわからないと思いますが、漫画を読めばきっとわかるはず…!

 

適度に気が抜けてて◎

え、難しそう…と思ったあなたも大丈夫。

絵柄とキャラクターのかわいさ、ねじのアイデア、時折挟まれる気の抜けたギャグやツッコミが、パンクしそうになった頭を柔らかくほぐしてくれます。

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〔若木民喜『ねじの人々』より〕


こういうノリ、好き…。 

 

 

そんなわけで、面白いだけでなく知的好奇心をかき立ててくれる『ねじの人々』、おすすめです。なんとなく哲学に興味はあるけどまとまったテキストを読むのは難しそうで躊躇しちゃうんだよな〜…という人が哲学の世界に踏み出すはじめの一歩としては最適かもしれません。

 

作品公式サイト
裏サンデー | ねじの人々

 

 

それでは今日はこのへんで。

さよ〜