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 熊本地震の影響で、熊本県南阿蘇村にある九州電力の水力発電所が損壊し、大量の水がふもとの集落に向け流出していたことが明らかになった。集落では土砂崩れで住民2人が死亡している。いまのところ、水の流出と土砂崩れの因果関係は不明だが、九電は外部の専門家を含めた調査チームをつくり、関連を調べる。

 問題となっているのは黒川第一発電所。1914年に完成し、地震で崩落した阿蘇大橋から西に約2キロの山中に発電設備や貯水槽などがある。

 九電によると、本震後の4月16日未明に発電に使う水をためる貯水槽の水位に異常があるのを確認。午前10~11時ごろヘリコプターで調査したところ、貯水槽の集落側の外壁などが壊れ、水が流れ出していた。流出した水は、約1万立方メートル(25メートルプールで約20杯分)にのぼるとみられる。

 貯水槽の約200メートル下には南阿蘇村立野の新所地区がある。土砂崩れで家が押しつぶされ、片島信夫さん(69)と妻の利栄子さん(61)が亡くなった。

 九電によると、斜面の崩落は貯水槽より上から発生している。「斜面崩壊と貯水槽の損壊のどちらが先に発生したかわからない」(広報)とし、因果関係は分かっていないと話している。今後、地震や斜面崩壊の専門家を含めた調査チームをつくり、詳しく調べる方針だ。

 九電によると、水力発電所の耐震性など技術基準は、1965年に通商産業省(現経済産業省)が省令で決めている。黒川第一の貯水槽は、それ以前に建設されたため適用外だという。

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 〈黒川第一発電所〉 1914年に完成した水力発電所。黒川から取水し、貯水槽から発電所までの約250メートルの落差を利用して発電している。最大出力4万2200キロワットで、約1万4千世帯分の電気を供給できる。