蹴球探訪
奇跡の初優勝見えた レスター・岡崎が激白「試合後はいつも悔しい」(4月27日)
【首都スポ】ラグビー界の新ヒーローに 五郎丸に続け、太朗丸2016年5月7日 紙面から
2015年のヒーローが五郎丸なら16年は太朗丸だ!! 4月27日に千葉県市川市で行われたトップリーグ・トライアウトで、並みいるトップチームのスカウトの前で抜群の輝きを見せたのが流通経大4年の東郷太朗丸(とうごう・たろま)。キック力と走力を兼ね備えたSOとして、昨年の関東大学リーグ戦グループベストフィフティーンにも選ばれた実力者は、関東大学春季リーグ初戦の明大戦でもチームを大勝に導いた。リーグ戦グループを3度制しながら大学選手権ではまだ4強進出も果たせていない流通経大を飛躍させ、16年の主役に躍り出てみせる!! (文・写真=大友信彦) 背番号10の左足が振り抜かれるたびに、ボールはロケットのように飛び、ゴールポストの間に吸い込まれた。走ればバネの効いたステップでタックルを外し、相手を引きつけては鮮やかなラストパスを放った。 4月27日に千葉県市川市で行われたトップリーグの合同トライアウトで、キックにランに縦横無尽の活躍を見せたのが、流通経大4年の東郷太朗丸だ。73人の受験者を4組に分けて行われたセレクションマッチの1試合目は、SOで出場して4トライを演出。2試合目はFBで自ら2トライを決め、14度のゴールキックも右隅からの2本を含め12本成功。走って良し、蹴って良しの活躍に、スカウトからは「別格だね」の声が聞かれた。そして「トライアウトに来るなんて、どこかに誘われてないのかな…」 確かに、大学2年からリーグ戦に出場し、昨季はSOでベストフィフティーンにも選ばれた実力者に、トライアウトの舞台はちょっと不似合いだ。 本人に聞いた。受験の理由は? 「リーグ戦のチームはスカウトの方に見てもらう機会も少ないし、たくさんの人に自分に興味を持ってもらえればと思ったんです。貴重な機会だし、今日は初めて一緒になる選手も多いから、それぞれが自分のチームで使っているサインやコールを確認して、統一して試合に臨みました」 ラグビーを始めたのは東京都中野区の上高田小1年のとき。09年に57歳で亡くなった故・石塚武生さんの体験ラグビー教室に参加したのが始まりだ。小学校時代はワセダクラブでラグビーを、杉並FCでサッカーを掛け持ち。サッカーでもFWで期待されていたが、中学進学に際し「うまくいかないことが多い方をもっとやってみたくて」とラグビーを選択。都内では数少ないラグビー部のある公立中、北中野中に越境で通い、高校は石塚さんが監督を務める茨城の常総学院へ。だが入学したとき、石塚さんはいなかった。 「中3の夏に練習に参加したんですが、グラウンドへ行っても石塚さんが来なかった。実はその日の朝、亡くなっていたんです。ショックでしたが、先輩たちがすごく真剣で、一緒にラグビーをやりたいと思った。石塚さんの口癖である『練習では常に100%を出せ』『私生活をキチンとしろ』ということは今も大切にしています」 東郷は、石塚さんの最後の教え子なのだ。 ところで気になるのはユニークな名前だ。昨年のW杯で日本中のヒーローになったあの人の名前によく似ている。 「それは言われます(笑)。名前も似てるし、僕もキッカーですし、名前に負けないように、いいプレーをしなきゃと思ってます」 昨季のリーグ戦では手のひらを立てて前に動かすなど、五郎丸キックにも通じるルーティンをみせていた。 「去年の春、流通経大に南アフリカから来たキッキングコーチに聞いたアドバイスをもとに、簡略化してできた形なんです。結果的に五郎丸さんのルーティンに似た動きがあって驚きました(笑)」 今季は大学のラストシーズン。すでにリーグ戦優勝3度を数える流通経大だが、大学選手権ではまだ4強入りを果たしていない。 「今年は必ず4強進出を達成したい。そのためにも強いFWと強いBKを前に出して、周りを生かしていきたい。自分が目立つ必要はないです」 1日の関東大学春季大会では、昨季の大学選手権で4強の座をかけて戦い敗れた明大に66−33で大勝。『本家』同様に謙虚なキッカーが、ラストシーズンに向けて走りだした。 ◇ 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」面がトーチュウに誕生。連日、最終面で展開中 PR情報
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