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【首都スポ】

長期離脱2度乗り越えた専大・野田 故郷熊本のため、チームのため戦う

2016年5月6日 紙面から

王者復権へ得点量産を誓う専大のMF野田卓宏=川崎市多摩区の専大生田キャンパスで(河口貞史撮影)

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◇関東大学サッカーリーグ

 第90回関東大学サッカー1部リーグ(東京中日スポーツ後援)で注目される点の一つが専大の戦いぶりだ。一昨季まで4連覇していたかつての王者は果たして優勝争いに絡んでくるのか? 現在は1勝1分け3敗の勝ち点4で10位と苦戦中だが、MF野田卓宏(4年・大津)が“変身”を遂げてゴールを重ねているだけに、守備面が整備されれば、勝ち点を積み上げてくる可能性がある。MF中村駿介(4年・浦和ユース)が出番を十分に得て本来の実力を発揮するようなら、一気の浮上も考えられる。 (関孝伸)

 まだ5試合を消化したにすぎないが、4ゴールをマークして得点王争いのトップに立っている。本来は「スルーパスが特長」というパサーの野田だが、新たなプレースタイルを確立しつつあるようだ。PK2点と、利き足とは逆となる左足による2発で、ゴールランキングの首位に躍り出た。

 「僕が一番驚いています」と笑う。自身はまったく意識していなかったが、親からの指摘によって、その事実を知った。

 好調の一因としては、不退転の決意で臨んでいることが挙げられるかもしれない。2年のときに左足首の腓骨(ひこつ)筋腱(けん)を脱臼、3年のときには右膝の内側半月板を損傷した。半年近くに及ぶ離脱を2度にわたって経験。「大きなケガをもう一回やったらサッカーをやめるくらいの覚悟でいます」と言うだけに、いい意味で吹っ切れ、それが好パフォーマンスにつながっていると分析できる。

 そして、故郷の熊本県が地震に見舞われたことでより奮い立った。実家がある玉名市も震度6強の激しい地震に襲われた。

 「地元の選手たちはサッカーが満足にできない状況にあるわけですけど、僕は普通にやれています。その環境にいることに感謝しています。僕が結果を残せば、家族や友だちに勇気を与えられるんじゃないかと考えています」

 専大は今季、2011年から4連覇した黄金期を取り戻すべく、再起のシーズンを戦っている。「今年もダメだったら、“勝てない専修”になってしまいます。それは絶対にイヤですし、今後の専修のためにも僕らがまた優勝しなければならないと思っています」と意気込むものの、ここまでの成績は振るわない。

 チームの課題とされる守備力の強化に努めると同時に、自らには一層の得点量産を課す。「僕のゴールが4点では足りないから、今の成績なんです。勝てなかったら意味がありませんし、勝つために、もっと取りたいです。前半戦だけで10点取るのが目標。ゴールに飢えています」と燃えるトップ下が、各大学守備陣のさらなる脅威となる。

 <野田卓宏(のだ・たかひろ)> 1994(平成6)年7月2日生まれの21歳。熊本県出身。173センチ、63キロ。玉名市の大倉幼稚園年中組のときにボールを蹴り始めた。玉名ジュニアからアスティール熊本を経て、中学生のときはブレイズ熊本ジュニアユースに所属。高校時代は県内の強豪、大津高でプレー。同校では現U−23日本代表の植田直通(J1鹿島)、豊川雄太(J2岡山)と同期。専大でのリーグ戦通算成績は21試合出場6得点(今季第5節終了時点)。

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