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【スポーツ】

[体操]加藤、人生最高の鉄棒でリオ切符 最終種目「一番しびれる着地でした」

2016年5月6日 紙面から

五輪出場を決め内村航平(左)を迎える加藤(内山田正夫撮影)=国立代々木競技場で

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◇NHK杯

 ▽5日▽最終日▽東京・国立代々木競技場▽男子個人総合決勝▽リオデジャネイロ五輪代表選考会を兼ねる

 リオデジャネイロ五輪代表に内定している内村航平(27)=コナミスポーツ=が、合計184・650点で歴代最多を更新する8連覇を達成した。2位には合計180・100点で加藤凌平(22)=同=が入り、2大会連続の五輪代表に決まった。田中佑典(26)=同=が180・000点で3位、全日本選手権2位の白井健三(19)=日体大=はあん馬の落下が響いて5位。男子の五輪代表枠は5で、残る3人は全日本、NHK杯、全日本種目別選手権(6月4、5日、東京・国立代々木競技場)の3大会の結果を基にして選考する。

 一つのミスも許されない最終種目の鉄棒。G難度の「カッシーナ」など手放し技を次々と決めると、降り技の「伸身の新月面」(2回宙返り2回ひねり)の着地も懸命にこらえて15・600点をマークした。

 「これまでで一番しびれる着地でした」。競技人生で最高の鉄棒で演技を締めた。先に演技した田中が16点に迫る高得点を出したが、「開き直るしかない」。切り替えの早さは、ロンドン五輪や3度の世界選手権など数々の大舞台を経験してきたたまものだ。

 昨夏は失意に暮れた時期もある。跳馬の大技「ロペス」(伸身カサマツ跳び2回半ひねり)を跳んだ際に左足首をひねり、靱帯(じんたい)を損傷。この日の跳馬は負傷以来初めて、“因縁の”大技に挑んだ。着地でラインをまたいで減点されたが、15点台を死守して田中佑との差を広げ、これが最後に効いた。「久しぶりだから空中感覚が少し狂っていた」と満足はできる出来ではなかったが、この後の平行棒、鉄棒は安定の演技。気持ちを切らさず、15点台をキープし続けた。

 今春順天堂大を卒業し、実父の裕之監督(52)が率いる名門コナミスポーツに入社。遠慮なくサポートを受けられるようになったことも大きい。最も近くで演技を見守った父は、鉄棒の演技前は「厳しいかな。完璧にいかないと無理」と半ば諦めかけていた。世界選手権代表歴のある父も、追い込まれた場面で力を発揮するタイプだったというが、「僕なんかよりよほど上にいっている」とたたえた。

 団体銀メダルの一員になったロンドン五輪から4年。「代表選考を勝ち抜いて、僕がなったからには、一緒に試合に出た人たちの分まで頑張る責任がある」と立場を自覚する加藤。個人総合では内村に挑み、団体では内村と共闘して金メダルを目指すが、「まずはしっかり足を治して、オリンピックまでに航平さんの横に並べるように力をつけたい」。世界最高のジムナスト・内村しか知らない世界を目指し、さらに技を磨き上げていく。 (福沢和義)

 

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