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性的マイノリティーへの学校でのいじめ実態、初調査

TBS系(JNN) 5月6日(金)19時39分配信

 レズビアンやゲイなどLGBT=性的マイノリティーに対する日本の学校でのいじめの実態について、国際人権団体が初めての調査結果を公表しました。日本では、LGBTの子どもはいじめのターゲットになりやすいと指摘しています。

 渋谷の街を歩く18歳の少年、重竹タイガーさん。

 「小学校が渋谷の近くだったので、放課後、渋谷の近くを歩いていました」(重竹タイガーさん)

 小学校の思い出は、悲しいものばかりでした。

 「いじめの話を誰にもできなくて、泣きながら歩いているんですけど、小学校の帽子で顔を隠しながら、渋谷を歩いたりしたときもある」(重竹タイガーさん)

 重竹さんは、ゲイです。物心がついた頃から、男性が男性を好きになるのは、当たり前だと思っていました。同級生から殴られたり蹴られたりといういじめを毎日のように受けましたが、2年生の頃からは、こう言われるようになりました。

 「『おかま』とか『ホモ』とか、『あっち系でしょう、触らないで』、『私もゲイになる』とかっていう言葉がたくさんあって、本当に何もできなかった」(重竹タイガーさん)

 学校では我慢し続けましたが、笑顔は消え、いじめから逃れるため、4年生の時、転校。今は都内のインターナショナルスクールに通っています。

 LGBT=性的マイノリティーに対する日本の学校でのいじめの実態について、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が初めての調査を行い、報告書を公表しました。その結果、LGBTの生徒や学生らおよそ500人のうち、31パーセントが「自分が暴言を吐かれた経験がある」、29パーセントは「教師が暴言、否定的な発言をしているのを聞いた」と回答。報告書は、日本の学校では「LGBTの子どもがいじめのターゲットになりやすい」と指摘しました。

 「日本の子どもたちは、性に対する固定観念に合わせるよう強いられていると感じている。教員にLGBTについてを含む、正しい情報を与えることが重要」(ヒューマン・ライツ・ウォッチ LGBTの権利プログラム カイル・ナイト調査員)

 文部科学省は去年、全国の教育委員会などにLGBTの子どもへのきめ細かな対応を求める通知を出し、先月には、教職員向けのパンフレットも作成しました。しかし、報告書では、日本の学校は、LGBTの子どもをいじめから保護できていないと厳しく指摘しました。

 重竹さんの場合も、教師は見て見ぬふりだったといいます。
 「先生たちももちろん聞いているのに何もしない。怒る気持ちより、すごく悲しい気持ち。人ってこんなに怖いんだ。もし、先生や友達が僕の話を聞いてくれた人が当時いれば、全く違ったと思います」(重竹タイガーさん)

 今週末、LGBTのNPO法人が多様な生き方を認める社会を求めて、国内最大規模のパレードを行うことにしています。(06日16:01)

最終更新:5月7日(土)0時35分

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