国土交通省は、熊本地震で被災した熊本県内の建物の応急危険度判定で、倒壊の恐れがある「危険」と判定された建物が1万2013棟になることを明らかにした。被災自治体の報告を先月末時点で集計した結果である。
「危険」判定は、阪神大震災の6476棟、東日本大震災の1万1699棟を上回った。
津波で流された住宅が多かった東日本大震災や、火災による焼失が相次いだ阪神大震災と単純に比較はできない。だが、史上初めて震度7を2度観測した熊本地震の被害の大きさを物語る。
住み慣れた家を失った人たちの避難生活は続いている。行政は仮設住宅の建設などを急ぎ、一日も早く日常生活を取り戻せるように努めなければならない。
熊本地震の影響で、鹿児島県内でも住宅の耐震化に関心を持つ人が増えている。鹿児島市建築指導課によると、1日に1件程度だった耐震の問い合わせが、1日20件ほどと一気に増えたという。
1981年の建築基準法改定に基づく現行の耐震基準を満たす住宅は、全国で82%だ。政府は住生活基本計画で、2020年度までに95%とする目標を立てている。
鹿児島県は全国平均を下回る75%にとどまっており、関心が高まるのは歓迎できる。この機に耐震化率の向上を加速させたい。
耐震化が進まないのは工事費用の負担が大きいからだ。一戸建ての平均的な耐震改修費は200万円弱と安くはない。
鹿児島市は旧耐震基準で建てた住宅を対象に、耐震診断費用の3分の2、耐震改修費の2分の1を補助している。こうした助成制度を上手に利用したい。
15年4月時点で耐震化診断と改修費用の助成制度があるのは、県内43市町村のうち、14市町だった。未整備の自治体は早急に検討するべきだ。制度のある自治体は積極的に広報してほしい。
寝室に強固なフレームを設置して壊れにくくする「耐震シェルター」や、寝床の上をフレームで覆う「防災ベッド」もある。
耐震シェルターは1室50万円以下で済む場合が多い。だれもが無防備になる就寝中の備えになるはずだ。高齢者など弱者を守るためにも積極的に検討したい。
耐震基準については、今回のように震度7クラスに連続して襲われた場合でも、現行のままで大丈夫かという指摘も出ている。
国は丁寧に現場を検証して、安全策を示す必要がある。
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