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【石平のChina Watch】
3大都市で未曾有の急騰…中国不動産バブル、不可思議な「最後の狂乱」
問題は、経済全体の成長率が低落し実体経済が沈没している中で、どうして不動産価格が急騰したのかである。その理由の1つは、昨年末以来、中央政府と各地方政府が実施した住宅ローンの頭金比率の引き下げや不動産取得税、営業税の減免措置など一連の「不動産振興策」にある。一部の地方政府に至っては、無一文でも不動産が買えるようなむちゃな「頭金0政策」まで打ち出した。
それでも不十分だと思ったのか、今年に入ってから中国政府はもう1つ、それこそ究極の「不動産市場振興策」を断行した。
それは、紙幣をむやみに増刷し、それを湯水のように市場に放出するという伝統の「経済救急策」である。今年の第1四半期、中国の各銀行が放出した新規融資の総額は何と4・61兆元(約78兆円)で、中国経済史上最高記録となった。その22%に当たる約1兆元分の融資が個人の不動産購入への融資となって不動産市場に流れ込んだ。
その結果、各大都会の不動産価格が急騰し、往時の不動産市場の「繁栄」が再びよみがえったのである。もちろんそれは、実体経済の沈没を食い止めるために、あるいは単に実体経済の沈没を覆い隠すために、中国政府が行った「カンフル剤注射」の結果にすぎない。いわば不動産市場の「官製バブル」そのものであった。
もちろんバブルがバブルである以上、それはいずれはじける以外にない。3月下旬になると、「一線都市」での不動産価格のあまりの暴騰ぶりに恐怖感を覚えた中国政府が一転して、住宅ローンの頭金比率の引き上げなどを中心とした「抑制策」を実施し始めた。
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