登録 : 2016.05.04 23:08 修正 : 2016.05.05 09:47

北朝鮮核問題への対応は中国任せ

3日(現地時間)、米共和党インディアナ州の大統領選の候補指名争いで圧倒的な勝利をおさめ、事実上の共和党大統領候補となったドナルド・トランプ氏が夫人や長女と共に勝利演説をするためにニューヨークのトランプタワーに入ろうとしている=ニューヨーク/AFP連合ニュース
 米国共和党の大統領選挙予備選挙で「不動産王」のドナルド・トランプ氏が事実上の共和党候補に確定され、その朝鮮半島・対外政策に対しても関心と懸念が高まっている。トランプ氏の対外政策は、先月27日、「米国優先主義」(America First)という題名で発表した外交政策演説に集約されている。米国の軍事的対外介入を自制する「孤立主義」と、相手国との公平な取引を主張する商業的「相互主義」が混ざっているが、朝鮮島政策もこのような基調の例外ではない。

 まず、韓米同盟と関連し、少なくとも在韓米軍の駐屯分担金の大幅な引き上げを要求するものと予想される。彼は遊説過程で、毎年韓国が1兆ウォン(約9250億円)ほど分担する米軍駐留費用を「小銭」と批判し、先月の外交政策演説でも「同盟国が莫大な安全保障の負担に伴う米国の財政的、政治的、人的費用に、さらに貢献すべきだ」として、厳しい「相互主義」を主張した。

 韓国がこれを受け入れない場合は、在韓米軍を撤収する可能性もあると脅かした。トランプ氏が大統領になるとしても、米国の巨大な軍の組織と軍需産業複合体の激しい反対で、このような公約が実行される可能性が高くはない。しかし、彼は「米国が世界の警察の役割をすることはできない。北朝鮮が韓国や日本と戦争を起こした場合、(戦争は)彼らがするもの」だと述べるなど、一貫して孤立主義路線を表明しており、このような主張に対する米国民の支持も少なくないことから、完全に無視できるようなものでもない。在韓米軍の撤収はなくても、在韓米軍の削減を仄めかし、防衛費分担金の引き上げに向けた交渉カードとして使う可能性がある。

 北朝鮮問題の解決をめぐっては、「中国下請け論」に傾いている。彼は先月27日の演説で「中国が制御不能の北朝鮮を制御できるように、中国に私たち(米国)の経済力を行使すべきだ」と述べた。米国も相当な打撃を受けるのが必至の中国に対する経済圧迫を、実業家であるトランプ氏が実行する可能性は高くないが、北朝鮮問題にはもう介入したくないという意向を明確に示したものと見られる。これは逆説的に、北朝鮮問題においては、韓国独自の外交空間を広げる機会となる余地もある。ただし、朝鮮半島における米国のパワーの縮小を、中国と日本が埋めようとする可能性が高く、これをいかに制御するかという問題が韓国外交の新たな課題になりそうだ。これと共に、韓国と日本の独自の「核武装論」が水面上に浮上する可能性もある。

 トランプ氏は共和党の伝統的な「自由貿易」基調と正反対の「保護貿易」を強調しており、韓米自由貿易協定(FTA)についても再交渉を要求する可能性が高い。自由貿易が米国の製造業の空洞化をもたらしたというトランプ氏の認識があまりにも強く、このような主張で白人の低所得層の支持を集めたからだ。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力::2016-05-04 19:08

http://www.hani.co.kr/arti/international/america/742510.html訳H.J

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