◎英語の歴史:英語は言語のルツボ!
中学生の時から英語の教育を受けていましたが、英語の歴史については学んだことがないなあと思います。そこで、今回は英語のルーツ、英語はどのように進化したのか簡単にお話しいたします。
部下:英語の勉強をしてるんですが、なかなか話せるようにならないんです!
課長:君は英語の歴史を知っているかい?
部下:いいえ、知りません
課長:もっと英語の事を知って仲良くならないとな。英語の歴史を知ると英語が身近に感じられて楽しく学べるぞ!
部下:課長!是非!教えてください!
課長:もっと俺のことも知りたいか? 仕事がよりはかどるぞ!
部下:いえ、そちらは遠慮しときます、、、
◎英語はイギリス以外からやってきた!
英語はイギリスの歴史に深く影響されて、時代時代によって変化を遂げてきました。英語の始まりはいつだったのか?それは5世紀まで時代を巻き戻します。5世紀初めまでは、イギリス(ブリタニアやブリテン国と呼ばれていました)にはケルト系民族が中心に住んでおり、ローマ帝国支配下にありました。当時の言語は、ケルト語(現在のウェールズ語やスコットランド語)とローマ帝国からのラテン語で、英語の痕跡は全くありませんでした。
ところが410年にローマ軍がイギリスから撤退した後、外敵から守るために現在のドイツに住んでいたゲルマン系民族であるアングロ・サクソン族が傭兵として雇われ、イギリスにやって来るようになりました。アングロ・サクソン族はどんどんイギリスに移住をはじめ、イギリスを支配するようになりました。このアングロ・サクソン族がイギリスで話した言葉が英語の始まりなんです。
5世紀から9世紀頃までの英語は初期古英語と呼ばれ、現在の英語の基盤となっています。現在、最も頻繁に使う単語、a, the, and, I, You, she, earth, wood, work などはこの時代に作られました。初期古英語をみますと、たまに単語がわかる程度で今の英語とは大きく異なることが分かります。※後の文章で比較しています
部下:ええっ、英語はもともとイギリスにあった言葉じゃなかったんですね!
課長:驚きだろう、だから英語とドイツ語はかなり似ているところがあるんだよ
部下:言語の親子みたいですね。中国の漢字が日本に伝わったように。
課長:私の仕事の内容が、君に伝授されているがね。
部下:・・・・は、はぃっ、、ありがとうございます。変に影響されないように頑張ってますが。
課長:しかし、外部環境によって英語は様々な影響を受けるようになります!
◎英語はバイキングにより進化した
9世紀頃になると、ヴァイキングのデーン人がイギリスに侵略をし始めます。一時はイングランドの約1/3の領土を占領されてしまいました。このデーン人がもたらしたノルド語が英語にも取り入れられました。身近な事柄を示す言葉、例えばskin, egg, sister, husbandなどです。cakeの語源もノルド語のkakaから来ているとも言われています。
部下:英語はピンチだったんですね
課長:ヴァイキングは戦闘に優れ、危うくイギリスも乗っ取られそうでした。9世紀にアングロ・サクソン族のアルフレッド大王がヴァイキングを一蹴し、孫のアゼルスタンが全土を統一してイングランドを建国したんだ。
部下:これで英語も安泰ですね~
課長:安心するのは早い!!強力なヴァイキングの影はまた牙をむくんだ!
◎英語はイギリスから一時消えた!
しばらくイングランドは安泰が続きますが11世紀になると状況はひっくり返りました。フランスから攻めてきたノルマン人(ヴァイキング系)のギョーム2世に一瞬のうちに占領されてしまいました。1066年にギョーム2世はウィリアム1世としてイングランド国王となりました。イギリスでの公用語はフランス語となり、公式の場や宮廷ではフランス語がつかわれるようになったのです。以後フランス語は英語に大きな影響を及ぼし、prince, duke, judge, court, tax, money などの言葉をもたらしました。この頃の英語のことを中英語と呼び、初期中英語ではまだドイツ語の影響を強く残しますが、しだいに現在の英語に近づき、ある程度分かるレベルになります。
部下:英語は絶体絶命の大ピンチですね。
課長:英語絶滅か!!という所だけど、150万人のイギリス人に対して1万人以下のノルマン人だったので、次第に彼らもイギリス人と同化して行ったんだ。
課長:そして1356年には再びイギリスの公用語は英語に戻ったんだよ。
部下:戻ったと言えば、この前立て替えておいた飲み代返してくださいよ
課長:君の財布は僕の財布に同化されたんだよ~
部下:いえいえ、イギリスの公用語と同じくお金も立場をわきまえて元の所有者に戻るんですよ!フランス語という利子をつけてね~
課長:・・・・っ
アングロサクソン(古英語)とフランス人(中英語)との物の見方の違いが分かる英単語を見てみよう!
羊は、古英語ではSheep、中英語ではMutton
牛は、古英語ではCow、 中英語ではBeef
豚は、古英語ではSwine、中英語ではPork
と古英語では直接的な動物の名前が作られ、中英語では料理に使われる肉の名前が作られているんだ。フランス料理は手が込んで美味しいけれど、イギリス料理というものは殆どなくシンプルで味も・・・ということも言葉から推測できるのでしょうか。
◎劇の為に作られた造語英語
ウィリアム・シェイクスピアは劇でのセリフ表現を豊かにするために、約3000語もの言葉をつくったと言われています。例えば下記の例があります。
部下:へえ~、シェイクスピアは流行語大賞をたくさん取った感じですね
課長:俺もかっこいい言葉を造ろうかなぁ~
部下:飲んだ時の意味不明のことばだけで十分です!
課長:次は独自に変化したアメリカ英語について話そう
◎アメリカで英語が話される理由!
ご存知に様に、コロンブスが1492年にアメリカ大陸を発見(それ以前にも発見者はいるらしい)してから、世界中からアメリカへの移住が始まりました。1776年にアメリカはイギリスから独立しましたが、当時のアメリカの人口は300万人ほどで、イギリス人が200万人、オランダ、ドイツ、フランス人が約20万人、黒人も約20万人ほどでした。このように圧倒的に英語を話すイギリス人が人口が多かったために、アメリカの母国語は英語になりました。独立してからは、アメリカの独自性、自立性を打ち出すために、独自の表現やスペリングが生まれました。例えば、下記の単語や表現です。
◎大変化を遂げた、言語のるつぼ「英語」
これまでお話ししましたように、英語は様々な影響を受け大きく変化してきました。例えば同じ時代の英語と日本語を比べてみましょう。日本語も変化はしていますが理解はできます。一方、英語は原形から大きく変化しまるで別の言語のようです。
※中英語はアーサー王物語です
さらに英語はどんどん進化しています。世界各国で話され世界の共通言語となっています。インド英語、香港英語、ラテン系英語、ヨーロッパ英語、アジア系英語・・・各人種各国それぞれの英語を話すようになり、一言で英語と言っても多種多様にあります。イギリスやアメリカで話されている英語よりも、他で話されている英語人口の方が多いのではないでしょうか。これを考えますと、日本英語、ジャパニーズイングリッシュでも堂々と胸を張って話せば良いと思いますね。
部下:英語に親しみを感じましたし、僕でも英語を話せそうな気がしてきました!
課長:じゃ、明日から我が職場も言語のるつぼ化のため、職場での発言は英語にしよう!
部下:課長は英語はなせるんですか?
課長:ワタシハニッポンジンデッス~
※英語を学びたい方は楽しい英語教室Enterlink Englishさんで!
この内容は2015年4月にEnterlink Englishさんのご協力で行った英語の歴史セミナーの内容をもとに書き下ろしました。写真の一部がその時の資料になっています。
今回はおしまい