イチロー、代打で逆転の２点適時打

　マーリンズのイチロー外野手（４２）は３日、地元マイアミでのダイヤモンドバックス戦で３−４と１点差に詰め寄った６回１死満塁の好機に代打で途中出場。救援右腕バレットの外角高め９５マイル（約１５３キロ）を中前にはじき返す逆転の２点適時打でチームの勝利に大きく貢献した。レッドソックスの田沢純一投手（２９）は敵地シカゴでのホワイトソックス戦で１−２の８回に３番手で登板したが、１／３イニングを２安打２失点と振るわず、連続無失点登板は９試合で途切れ、防御率も２・７０に跳ね上がった。チームも１−４で敗れた。

　今季初めて迎えた満塁機。１点を追う６回に代打で起用された背番号５１が地元ファンのイチローコールに応えてみせた。

　２ボールからの３球目、外角高めの直球に力負けすることなく鋭く振り抜くと、ライナー性の打球は中前で跳ね、走者２人が生還した。鮮やかな逆転打。入場時に配布されたイチローＴシャツをまとった地元ファンを狂喜させた。

　打った相手は初対決の新人。冷静に球の軌道を見極めたようなスイングだったが、イチローは「そんな余裕ないですよ、チビりそうに緊張してるんだから」と極限の精神状態をユーモアたっぷりに表現。会心の一撃を「そりゃあ気持ちいいですよ」と言って笑った。

　この日の私服は親交の深いお笑い芸人「ダウンタウン」の浜田から贈られた直筆イラスト入りＴシャツ。添えられた文言は「なんやかんや言っても打ってるし」だった。

　この１本で満塁機の打率は３割８分３厘。メジャー通算２９４７安打。イチローのバットがもたらした勝利でチームは再び貯金を「１」にした。（マイアミ小林信行）