米当局がタカタに対し異常破裂の恐れがある同社製エアバッグを全て追加リコール(改修・無償修理)するよう要請したことで、当面のリコール範囲がほぼ確定する。今後はタカタと自動車メーカーとの間でリコール費用の分担を巡る交渉が本格化する。ただ、リコール費用は全体で1兆円を超える見通しで、交渉相手には海外勢も含まれる。交渉は難航が必至だ。
タカタは現在、外部の弁護士らで組織する第三者委員会を通じて車メーカーとの交渉を始めている。第三者委は車メーカーにリコール費用を負担してもらう代わりに、8月をメドに創業家の高田重久会長兼社長ら経営陣を刷新し、新たなスポンサー企業を選定する考えを示している。
リコール範囲が雪だるま式に膨らみ続ける状況下で、これまで車メーカーやスポンサー候補との交渉は難航していたもよう。今回、世界の運輸当局に影響力を持つ米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が当面のリコール範囲について判断を示したことで、全世界でのリコール費用の総額が計算できるようになった。これで車メーカーとの費用分担やタカタのスポンサー選定を巡る交渉が動き出す可能性がある。
米ジェフリーズ証券によると、今年2月までに国内の車メーカーが引き当てたリコール費用の総額は約5400億円。今回、仮に世界で5千万台超の追加リコールが発生すれば、新たに5千億円規模の費用が発生すると見込まれており、海外メーカーを含めるとリコール費用は総額で1兆円を大きく上回る見通しだ。
一方、タカタの15年12月末時点の自己資本は約1400億円で、現預金は約600億円。タカタの支払い能力には限りがあるため、リコール費用の大部分を車メーカーに負担してもらうよう求めざるを得ない情勢だ。
タカタはホンダやトヨタ自動車などの国内メーカーに加え、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)など海外勢にもエアバッグを供給しているが、タカタ支援を巡る各社の態度はまちまちとされる。タカタのこれまでの対応に不信感を強めている車メーカーも多く、協議は難航する恐れもある。