宇宙に情熱を注いだ3人が語る、宇宙開発が導く未来
『スター・ウォーズ』『宇宙戦艦ヤマト』など、宇宙を舞台にした映画やアニメは多いですが、私たちにはまだまだ遠い未来の話のように思えます。しかし、着実に未来に向かって一歩ずつ進もうとしている人たちがいるのです。日本初の宇宙ビジネスメディアを立ち上げた石神一郎氏、ロケット事業を行う堀江貴文氏、宇宙飛行士の山崎直子氏。宇宙に情熱を燃やす3名の過去の書き起こしから、宇宙開発の今とこれからについてまとめました。
- スピーカー
- 株式会社インフォステラ 石亀一郎 氏
SNS株式会社 ファウンダー 堀江貴文 氏
宇宙飛行士 山崎直子 氏
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月で国連総会を開くことがゴール
宇宙開発はどんな未来を実現するのでしょうか。小さなころから宇宙を夢見て、日本初の宇宙ビジネスメディアを立ち上げた石亀一郎氏には、明確なビジョンがあるようです。
僕は大学1年生のときに、astropreneur.jpという日本初の宇宙ビジネスメディアを立ち上げて、年間100本くらい記事を書いて、Wiredに寄稿、NHKの取材協力とかやらせていただいて、一通り宇宙分野に関して取り組んだ後で、宇宙のプロジェクトをやろうとしたんですけど失敗して、その失敗した経験から、事業経験が足りないということで、仲良くしていたセブンバイツという会社に入らせていただいて。
時間が遅れるっていう話があるじゃないですか。高速に近づいてものすごく速くなると時間が遅れるんですね。その動いている人間の。例えば新幹線とかって、地上にいる人よりも時間が遅れてるんです。そういう部分を計算しようとしたんですけど、それが幾何学で。概念は理解できたんですけど、中学生のときはその分野の計算がわからなくて。
いったんそこで僕の興味は計算ではなくて、抽象化された概念に興味を持つようになって。そこでいったん終わって、宇宙開発に興味を持つようになったんです。そこで一度挫折というか。
ある人にバラされてしまったんですけど、僕がいつも言ってることは、「月で国連総会が開かれたら」ゴールだと思います。それは結局、僕は哲学が好きなので、地球の相対化というか、国連総会みたいな、国境というものが無意味化するためには、その首長たちがまったく別の中立国とか、もう国ですらなくて、別の大地に足を踏み入れて、その中で地球についてどうするか考えるっていうことで。
実際に物理的にそういうところに行くべきだと個人的には思っていて。
引用元 「月で国連総会が開催されたらゴール」 宇宙開発に詳しい若手起業家が抱く野望
ロケットベンチャーはお金が集まらない
宇宙開発への夢は膨らみますが、一方でなかなか資金を集められないという苦労もあるようです。現在ロケット事業を手掛ける堀江貴文氏が、2015年に行われた「Tech in Asia Tokyo 2015」で、このように語っています。
僕だってロケットのベンチャーやってますけど、お金が集まんないから。
だって、ロケットはゼロイチの世界だから。ある意味、バイオベンチャーの創薬ベンチャーに似てますよね。
創薬ベンチャーってやっぱりすごくいろいろあって、ベンチャーの臨床試験のフェーズⅢっていう一番最後のところまでいかないんですよね。いくのに最低でも何十億ってかかるので。しかも臨床試験に失敗したらゼロになっちゃうわけですよ。
(中略)
ロケットも同じで、僕らのロケットってまだ宇宙空間まで行ってないわけですよ。「本当に行くのか?」みたいな。
僕たちが買いたいのは時間なんですよ。今、経費が年間1億くらいかかってるんですよ。僕が1億円全部出してるわけですよ。だけど、1億で軌道通るまでやろうとすると、2年とか3年はかかる。
だけど今、5億くらい投資が集まれば1年でできるかもしれないっていうことなんです。ただそれだけの差なんですよね。だからこれも、要はお金を出す側からしてみれば、「本当にできんの?」みたいな。
引用元 堀江貴文氏「ITは若い人に任せればいい」宇宙事業の巨大マーケットを語る
だけど今、5億くらい投資が集まれば1年でできるかもしれないっていうことなんです。ただそれだけの差なんですよね。だからこれも、要はお金を出す側からしてみれば、「本当にできんの?」みたいな。
土地も資源も有限の“宇宙船地球号”で
では、宇宙開発が発展していくためにはなにが必要なのでしょうか。スペースシャトル・ディスカバリーに搭乗した経験を持つ宇宙飛行士の山崎直子氏は、将来の有人宇宙探査船に関して、国境を越えた協力が不可欠だと語りました。
バックミンスター・フラー氏は、かつて地球のことを「宇宙船地球号」と述べました。私自身は、地球は宇宙船だと感じました。もちろん大きいのですけれども、無限でもない。土地も資源も有限であるという意味で宇宙船と感じました。
宇宙船地球号をより良い方法で使っていかなければなりません。というのも、世界人口もエネルギー消費量もどんどん増えているからです。ですので、宇宙船地球号を自分たちの持てる資源で対立をするのではなく、積極的に使えるように、うまく使いこなしていかなければなりません。
将来の有人宇宙探査船に関して、様々な多くの国々がきっと協力をすると思います。例えば、月や、それより遠い所に、宇宙探査船を送ることに関してです。火星に探査船を送るようなプロジェクトは、一国ではやり切れません。
より大規模な国際協力が必要です。そのためにもグローバル経済・政治はより安定していなければなりません。私たちは、ボーダーレスな、より国境を越えた協力が必要です。
多分、宇宙探査船の中のような国境が無い所でも、国境を越えた協力をしていくと、もっとより良いことが起きていくと思います。このような、より良いシナジー効果が、益々、地上と、そして宇宙の間で進むことを願っています。
引用元 「母なる宇宙は私たちを待っている」宇宙飛行士・山崎直子氏が語る、大気圏外での体験
宇宙という大きなフロンティアに挑戦している3名。まだまだ解決すべき問題はたくさんありそうですが、宇宙への情熱を持った人々が力を合わせることで、きっとよりよい未来が実現することでしょう。