東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。
世界遺産・ポンペイ展開催中

トップ > 政治 > 紙面から > 5月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

改正児童扶養手当法 恩恵ひとり親世帯4 第1子は増額されず

写真

 所得の低いひとり親家庭などに支給する児童扶養手当について、二人目以降の子どもの加算額を最大で月一万円に倍増させる改正児童扶養手当法は二日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。政府は子どもの貧困対策の柱の一つに位置付け、十二月支給の八〜十一月分から実施する。対策は一歩前進するが、効果は限定的だ。 (我那覇圭)

 児童扶養手当には経済的に苦しむ母子や父子家庭などの暮らしを支え、自立を促す狙いがある。受給者は二〇一五年三月時点で約百五万八千世帯。額は年収や子どもの数で決まる。子が一人の場合、年収が百三十万円未満で満額の月四万二千三百三十円となる。

 二人目から加算があり、改正法で二人目を現行の月五千円から最大で一万円、三人目以降を月三千円から最大で六千円にそれぞれ引き上げる。収入が増えるに従い減額する。今回は受給者の約四割、約四十三万世帯が引き上げ対象になる。

 手当だけで貧困は解消できないとはいえ、厚生労働省の試算では、改正によるひとり親世帯の相対的貧困率(54・6%、一二年時点)の改善効果は、0・9ポイントにとどまる。受給者のうち約六割の支給額は据え置かれた。

 審議では四カ月に一回の支給回数に関し、まとまった金額を短期間で使ってしまう恐れがあると、毎月支給への切り替えを求める意見が相次いだ。厚労省は支給事務を担う自治体の負担が増えると反対した。野党は「増額は歓迎すべきこと」(民進党幹部)と賛成した。

 ひとり親を支援するNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子(ちえこ)理事長は「今改正は、政府が現金給付を増やさなければ貧困の解消に結び付かないと認めた点で意義があるが、効果は限定的だ。一人目の増額や毎月支給への切り替えに加えて、ひとり親が仕事と子育てを両立できる環境整備なども進める必要がある」と指摘している。

 

この記事を印刷する

PR情報