タカタ製エアバッグのリコール 米で過去最大規模に

自動車部品メーカー、タカタが製造したエアバッグの異常な破裂が原因で死亡する人が相次いでいる問題で、アメリカ運輸省はリコールするエアバッグの対象を最大で4000万個追加することを明らかにしました。これによって対象の数はおよそ6900万個に拡大し、車のリコールの規模としてはアメリカで過去最大になる見通しです。
アメリカ運輸省の道路交通安全局は4日、記者会見を開きました。このなかで、ローズカインド局長は、タカタが製造したエアバッグのうち新たに3500万個から4000万個をリコールの対象に加えることを明らかにしました。
アメリカでは、すでに2880万個のエアバッグがリコールの対象となっていて、今回発表された分と合わせると、その数は最大でおよそ6900万個に拡大し、車のリコールの規模としては過去最大になるということです。
これまでの調査で、問題のエアバッグは高温で多湿な状態に長い間さらされると異常な破裂をしやすいことが分かっていて、これが原因でアメリカでこれまでに10人が死亡しています。
今回のリコールの追加によって、エアバッグを膨らませる火薬として硝酸アンモニウムを使い、かつ乾燥剤を入れていないすべてのエアバッグが対象になります。
ローズカインド局長は記者会見で「今回の追加でリコールの数が倍以上に増え、アメリカの歴史上もっとも大規模で複雑なリコールになった。われわれはアメリカ人の安全を守るためにやれることはなんでもやる」と述べました。
一方、日本国内ではタカタ製のエアバッグを採用している自動車メーカー各社が、ことし2月までにおよそ1250万台のリコールを届け出ています。
今回、アメリカでリコールの対象が広がったことを受けて、各自動車メーカーは日本国内でも対象を拡大するかどうか検討するものと見られます。
リコールは自動車メーカーが必要な費用をいったん全額を負担しながら進めていますが、対象の拡大によってすでに巨額にのぼっているリコール費用がさらに膨らむことになります。
自動車メーカーは異常な破裂の原因がわかった段階で、タカタにリコール費用を請求する方針ですが、費用の拡大で負担の割合を巡る今後の協議がより難航することも予想されます。
エアバッグのリコールが拡大したことを受けて、タカタの高田重久会長兼社長は「リコールの拡大を決めたのは安全に対する強い思いと、問題を解決して消費者の信頼を回復するためだ」という英語のコメントを出しました。