【記者手帳】朴大統領イラン詣で、ペルシャ語を話せる韓国外交官ゼロ

【記者手帳】朴大統領イラン詣で、ペルシャ語を話せる韓国外交官ゼロ

 イランの首都テヘランで2日(現地時間)に開かれた同国のロウハニ大統領と韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の共同記者会見は、逐次通訳の形で進められた。両国大統領が述べた首脳会談の結果を通訳者たちがペルシャ語と韓国語に通訳した。イラン側の通訳者は北朝鮮・平壌への留学経験を持ち、在韓イラン大使館に勤めた経歴もある職業外交官だった。韓国とイランの高官級会談には必ず同席している韓半島(朝鮮半島)専門家だ。一方、韓国側の通訳者はイラン中部イスファハンの大学で博士学位を取得した現地の韓国系だった。

 首脳の「口」と「耳」の役割を果たす通訳は、国政全般に対する理解があり、なおかつ通訳のトレーニングを受けた外交官が主に務める。だが、韓国の外交部(省に相当)にはペルシャ語を話せる外交官が一人もいないという。たまたま高学歴の地域専門家がいたため、韓国大統領の発表を他国の外交官が通訳するという最悪の事態はかろうじて避けられた。

 イランはこれまで核開発疑惑で国際社会から経済制裁を受けており、韓国の対中東外交において優先順位は低かったものの、韓国にとって主要なエネルギー輸入先であり、経済協力国だ。人口約8000万人に達する中東第2位の経済大国でもあり、経済制裁で関係が一時的に遠ざかったとしても決して無視することのできない外交相手国なのだ。隣国の中国や日本が、この地域をよく知るペルシャ語が堪能な外交官を多数抱えているのもそのためだ。朴大統領はこの日、発言の締めくくりにペルシャ語で「(イランは)友人であり、良いパートナー」と述べた。その瞬間、ロウハニ大統領とイラン政府の閣僚たちの口元に笑みが浮かんだ。

 もちろん、現地語の会話能力が外交活動の全てではないが、言語の基礎がない外交はどうしても限界がある。韓国外交部は目の前の状況ばかりを見るのではなく、「非主流」に分類しがちな地域にも関心を持ち、専門家を育成していく必要がある。

ノ・ソクチョ国際部記者
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