熊本地震で大きな被害が出た熊本城。城を管理する熊本城総合事務所の河田日出男所長は「修復には5〜10年、あるいは20年かかるかもしれない」と悲痛なコメントを出した。修復費用は数十億円規模、それ以上になるかもしれないという。「城のスペシャリスト」に「早期修復は可能なのか」聞いてみたところ、日本の匠の技を結集すれば、早期かつ完全な修復も不可能ではないことが分かってきた。(三枝玄太郎)
■「ブラタモリ」に期待
小峰城(福島県白河市)の修復を手がけた大手ゼネコン「鹿島」(東京都港区)の関係者は「現場を見たわけではないので、断言できないが」と前置きしつつこう語った。
「熊本城の史料がどれだけ残っているかですね」
2011(平成23)年3月11日の東日本大震災で白河市は震度6強に見舞われた。石垣10カ所が崩壊し、地震以降、本丸は昨年4月まで立ち入り禁止措置が取られていた。工事は1568平方メートルを復旧させ、3月にほぼ終了した。
鹿島は石材ひとつひとつに番号を振り、できるだけ当時の工法を再現し、約7000個の石垣を積み上げた。
「市が所有していたお城の写真を参考にしました。文化財ですから通常の工事より繊細さが求められます」
熊本城の場合、NHKの人気番組「ブラタモリ」で詳細にレポートされていたが、そうした映像も復旧の大きな手掛かりになるのは間違いない。
■難工事は必至
「しかし…難工事にはなりそうですなあ」
そう嘆息するのは、城の石垣修復では国内トップクラスの技術を持つ粟田建設(大津市)の会長、粟田純司さん(75)。
「熊本城の武者返しいうのは、全国でもトップクラスです。あんな城はよそではありません。急勾配だと上に行くに従って工事に取ることができるスペースが小さくなる。難しい工事になるのは間違いありません」と語る。