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【熊本地震】
熊本城は必ず完全修復できる! 匠の技を結集…「工事にかかってしまえば早いんですよ」
熊本城の場合、NHKの人気番組「ブラタモリ」で詳細にレポートされていたが、そうした映像も復旧の大きな手掛かりになるのは間違いない。
難工事は必至
「しかし…難工事にはなりそうですなあ」
そう嘆息するのは、城の石垣修復では国内トップクラスの技術を持つ粟田建設(大津市)の会長、粟田純司さん(75)。
「熊本城の武者返しいうのは、全国でもトップクラスです。あんな城はよそではありません。急勾配だと上に行くに従って工事に取ることができるスペースが小さくなる。難しい工事になるのは間違いありません」と語る。
武者返しというのは、石垣に角度をつけて勾配を急にすることで、外部から敵に石垣を上られるのを防ぐ仕組みだ。西南戦争で谷干城率いる4000人の政府軍が籠城し、14000人の大軍で迫った西郷隆盛軍が武者返しのため石垣を上れず、撃退された逸話は有名だ。
粟田さんによると、熊本城を完成させた加藤清正は、朝鮮出兵の際、穴太(あのう)衆と呼ばれる石工を朝鮮半島に伴い、出兵先で城を造る際にも大いに活用した。
粟田さんが心配するのは、熊本城が何度か大規模な修復を施している点だ。
「当時は石垣に知悉(ちしつ)した棟梁がいたが、江戸時代後期以降、城が造られなくなり、そうした職人がいなくなってしまった」