以前から気になっていた『ノラゲキ!』という短編アニメ映画(OVA)を見ました。25分程と短いながらもとても良くまとまっているSFサスペンスで楽しめたので、その感想とストーリーの解説を書いていきます。
以下ネタバレ含みます!
目次の項目クリックで解説飛ばせます。
ストーリー解説
メインの登場人物は5人と猫一匹。
物語は、囚人である彼らが閉じ込められている監獄のトビラが開いた所から始まります。
監獄から解放された彼等はどうにか脱出しようと、どこにあるかもわからない施設からの出口をあちこち探す内に、いくつかの事実を発見します。
それは自分たちがいるのが宇宙にある監獄であり地球に落ちつつあることと、一緒にいた老人は囚人でないこと。そして一人だけなら地球に脱出できるかもしれないこと。
誰が脱出するのか。
話し合いの結果、運に任せることになり、そうして青年がノラ猫と共にカプセルに乗って地球へ脱出することになります。
地球に落ちつつある宇宙ステーションに残された4人はそのまま助かりません。
その様子を地球から観察する防衛軍的組織が。
実はこの宇宙ステーションは隔離施設でもあり、老人とノラ猫はウイルスに感染しているために、この宇宙ステーションに隔離されていたのでした。
地球に脱出した青年とノラ猫が乗ったポッド。
防衛軍的組織からポッドへロボット部隊が派遣されます。
そのロボット部隊は皆、宇宙ステーションから脱出してきた青年と同じ顔をしていました。なんと青年は、防衛軍から宇宙ステーションへウイルスの情報を持ち帰ってくるために派遣されたロボットだったのです。
しかしロボット部隊は思わぬものを発見します。それはノラ猫。
ウイルスに感染しているノラ猫はそこから逃げ出してしまいます。
そうしてウイルスの封じ込めは失敗して、地球に広がっていくのかもしれません・・・。
ネタバレ感想
ストーリー展開
あらすじを見た限りではあまりSF要素を感じませんでしたが、25分と短いながらもとても練られたSF脱出劇でしたね!
気付けば密室空間にいて、見知らぬ物同士で結託して探索、そして徐々に謎が明らかになっていくというストーリーは王道ながらもワクワクする展開でとても楽しいです。
王道な脱出モノながら、そこに壮大なSF的設定が付け加えられ、不可解な状況をきっちり説明付けていて納得の行く物語でした。
青年の無口さというのがただのキャラ付けではなくて、実はロボットであるということの伏線だったというのは良かったですね。
ウイルスに関しても序盤からきっちり伏線が貼ってありましたし、とても丁寧に作られていると感じました。
映像
結局誰が宇宙ステーションから脱出するのかを運任せのギャンブルで決めることになりましたが、そのときの映像がなかなかおもしろかったです。
回転する宇宙ステーションのなかで走り回る猫。
まさにギャンブルのルーレットでしたね。
他に映像面でいうと、この作品の人物はCGアニメ表現でした。2011年という少し昔の作品ながらそれほど違和感もなく、良いアニメーションだったと思います。
タイトル回収
EDクレジットが始まるまで、結局『ノラゲキ!』というのはどういう意味なんだろうと思っていたのですが、ちゃんと明かしてくれて納得!
良いタイトルですね。
あと、EDに流れる「黒猫のタンゴ」が物語のラストも相まってなかなか面白いですね。冷静に考えるとなかなかダークなラストでしたが、この曲のおかげである程度緩和されている気がしました。
まとめ
密室劇だという説明を見て手にとったものの、思わぬ良SF作品でとても楽しめました。
ただ、短いだけあってやはり人物描写が少なかったかなーとも思います。
とはいえ、人物描写が少なくてストーリーを見せることに集中されているからこそ、あの救いようのないラストでもそれほど悲壮感が出なかったのだと思います。
なので、個人的にはこれくらいでちょうど良かったかなーという感じ。
SFサスペンスとして良いアニメ作品だったと思います。