ブルーフロウ(Windows、工画堂スタジオ)
ジャンル:リアルタイムストラテジー
それは2005年。
かつて無いマイナーゲーム日照りだった2004年とは違い、PCゲームのラインナップだけを見ても
食指を動かされるようなタイトルがいくつかリリースされておりました。
その中で、私の目に付いたのがこれ。
なんでも「初心者向けのパワードール」というコンセプトの元発売されたというこの作品。
しかも本作を制作したスタッフは「いるかさんチーム」。工画堂の名作RTSとして名高い「羅刹」シリーズを製作した所です。
「羅刹」の出来栄えは私もかなり耳にしていたので、これは期待しない理由が見当たりません。
そして気が付くと、本作を新品で購入して店を出る私の姿がありました……
さて、早速ですが本作のゲーム内容をご紹介します。
本作のジャンルはいわゆる「リアルタイムストラテジー」。
ゲーム内容を簡単に説明すると、マイナーゲーマーの方ならTGLの「セイントアイズ」、一般のゲーマーさんの方ならマイクロソフトの
「Age of Empire」の戦術部分を抜き出し、戦術の合間にADV調のストーリーを入れた物……といっていただければなんとなくわかると思います。
チュートリアルもしっかりしておりますし、余程RTSが苦手な人でも無い限り、『ゲームシステムが意味不明でポイ!』という事には
ならないと思います。
全16面ある各ステージでは、色々と小難しい勝利条件やら敗北条件やらがありますが、難易度「普通」以下であれば
敵がワラワラやってきても、こちらの頭数さえそろっていれば大抵の場合圧倒することが出来ますので、少なくとも戦術面では
初心者の方もそれ程心配する必要はありません。
もっとも、敗北条件がシビアなステージも結構あるので、作戦も何もなしてクリアできるほど、甘い作品でもない事もまた確かです。
そしてこの難易度の低さゆえ、敵の大群を一瞬にして粉砕する光景が本作ではしばしば見られます。
そして、画面内に咲いた花火の大群は、日頃溜まったストレスを発散させる作用もあります。
まさに『きぶん そうかい』。
……もっとも、「難易度が低い」というと、PDファンに限らず、コアなゲーマーからは「ヌルい=駄作」だなんて声が上がりそうです。
そう言う人のために、本作は難易度設定を「やさしい」〜「非常に難しい」の四段階用意していますので、自分に合った
難易度でプレイする事が出来ます。
また、本作は同じステージでも、その時々によって戦況が変わるステージがいくつかあり、二周目・三周目とプレイする時でも
これらのステージを攻略する時は、新鮮な気持ちでプレイできるのも長所の一つです。
そして、ストーリー。
本作はストーリー性の余り無かったPDとは違い、戦闘の合間にADVパートを入れることにより、ストーリー性の強化を図っております。
ストーリー面が強化された事により、PDでは(キツイ事を言えば)単なる「駒」に成り下がっていた女性隊員達が、果然生き生きとしてきました。
当然ながら、各キャラへの愛着度もUPします。
それだけでなく、戦術パートで戦闘中に頻繁に発生する味方キャラ同士の掛け合いがより一層キャラを引き立たせています。
例えば、戦いに慣れておらず、おたおたする主人公に対し、隊員の一人が「落ち着け。感情を制御できないと、戦場では命取りだぞ」と
諭したり、射撃の名人である隊員が敵を撃破した時、別の隊員が「奴だけは敵に回したくないな」と呟いたり……
挙句の果てには、主人公の少年を隊長が気遣うなり、とある新米隊員が何よあの年増!と罵ったりするなど、
どの台詞も、そのキャラの個性が出ていて良い感じが出ています。
本作最大の魅力を挙げるなら、私は迷わずこの「戦闘時の各キャラ同士の掛け合い」を上げます。
……とまあ、このように色々と魅力を感じる本作ではありますが、私はある二つの凡作転落事項を見出したため、
本作を名作と認定する事を避けました。
その凡作転落事項の一つ……それはずばり言って操作性が悪いという事につきます。
同じRTSの「セイントアイズ」や「Age of Empire」等とはボタンの配置が全く異る(左クリックより右クリックの方を多用する)のはまだいいとしても、
フォーメーションを組むのに一々手動で整列させねばならないわ、AIが御馬鹿で障害物に
引っ掛かるのは日常茶飯事だわ、味方をまとめて別の場所に移動させる時一人だけとんでも
ない迂回路を取る事はあるわ(もちろん、その迂回路が敵の巣だった場合、そのユニットは撃破確定)、
指定した武器を使わずにそのまま敵陣に突っ込む事もあるなど、操作性の悪さ・AIの
おバカさを上げたら切がありません。
他のRTS……例えば「セイントアイズ」では、フォーメーションを組むのは簡単操作ですぐに出来ますし、
障害物に引っ掛かった事等一度もありませんし、指定した武器を使わないで特攻した事などは一度もありません。
また、この作品はユニットの動きが全体的に遅いので、結果、ゲームのテンポを阻害する要因ともなっています。
ユニットの移動速度は、「セイントアイズ」のそれと比較すると1/2といった所でしょうか。
そのため、長距離の移動時には、無用な「見てるだけ」という時間が発生するという弊害が生まれてしまっています。
そして、ストーリーの方にも凡作転落事項が一つ。
……ネタバレになるので詳細は伏せますが、その凡作転落事項とは終盤のシナリオの描写不足と、なによりあのバッドエンドじみ
たエンディング。
まるで、いかにも「人が死にましたので感動してください」といった臭いがプンプンしてきた……そんな感じのエンディングでした。
このレビューを書く前、工画堂系の掲示板にも足を運んでみたのですが……5年前の『パルフェ2バッドエンド
事件(※)』の再来を思わせるような非難の嵐が……
(※)パルフェ2バッドエンド事件:
2000年に発売された「ハートフルメモリーズ〜リトルウイッチパルフェ2〜」において、メインヒロインのパルフェ攻略時に陰険極まりないフラグ
立て(トラップ)が仕掛けられていたため、パルフェ狙いの人々のことごとくがバッドエンドに直行したという事件。
また、この作品にはシリーズ通じて存在した「ノーマルエンド」という物が存在しなかった上、パルフェとルティル以外のエンディングが存在
しなかったため、他のヒロイン狙い&お金稼ぎメインで進めていた人々も「バッドエンド」の洗礼を受け、被害が拡大した。
当然、工画堂系の掲示板には不平不満が吹き荒れる事となった。
しかし、「パルフェ2」のバッドエンドは正しい選択肢さえ見抜けばリベンジは可能だが、本作の場合、伝え聞く所によると
マルチエンドでは無いという話です
つまり、どうあがいてもあの悲惨なエンディングを……
まあ、このエンディングの事を抜かしても、結局語られる事の無いまま終わってしまったエピソードも少なからずありますので、
この点だけでも、充分凡作転落事項になりえますが。
……まあ、色々と褒めたり不平不満を漏らしたりしてきましたが、本作の当初の目的であった「初心者向けのパワードール」という
狙いは成功しているように思えました。
また、レビュー後半で指摘した凡作転落事項さえ改善すれば、エース級の名作を狙える可能性のあるタイトルであるという事も感じられました。
次回作が出るのであればさらなる奮戦を期待しつつ、今宵はこの辺りでレビューを終了したいと思います。
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