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【めざせイグ・ノーベル賞傾向と対策:久我羅内】応募してみたら?

科学 科学-全般
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5月kindle月替わりセールで買った『めざせイグ・ノーベル賞傾向と対策』。

「イグ・ノーベル賞」という賞を知っているだろうか?

聞いたことはあってもきちんと理解している人は結構少ないのではないだろうか。ましてや応募方法や傾向と対策を知っている人はほぼ皆無だろう。 

《目次》

 

イグ・ノーベル賞とは

創設者のマーク・エイブラハムズ氏によれば、イグ・ノーベル賞は、「世間を笑わせ、考えさせた」業績に贈られる賞とのこと。

端的にいえば、ノーベル賞のパロディ版だ。

『ユーモア科学研究ジャーナル(Annals of Improbable Research)』という雑誌を発行していた編集者マーク・エイブラハムズが1991年に創設した賞で、名前の由来は「ignoble(あさましい、下品な、くだらない)」とノーベル賞とのかけあわせである。

 

受賞者は何がもらえるか

  • 賞状:本物のノーベル賞受賞者のサインが入っている
  • メダル:スーパーで売っている即席ポップコーン様のアルミ製のなべ
  • 謎の紙パック:なかは空(ハーバード大学のキャンパスの空気入り)

欲しいかはともかく、この3つがもらえるそうだ。

 

過去の受賞者

毎年10人ほど受賞するが、日本人の受賞率がかなり高いのが同賞の特徴で、2015年まで9年連続で日本人が受賞者している。

ジャンルとしては2015年は化学賞、物理学賞、文学賞、経営学賞、経済学賞、医学賞、数学賞、生物学賞、診断医学賞、生理学および昆虫学賞の10個で、日本人が含まれる賞は医学賞で木俣肇「激しいキス、その他の親密な人間相互間の行動の、生物医学的な利益や生物医学的な結果を研究しようとした実験に対して」であった。

2008年に出版された本著には、カラオケの発明で平和賞をとった井上大祐、ウシのフンからバニラ香料成分の抽出に成功して化学賞をとった山本麻由らが紹介されている。ちなみに、中松義郎(ドクター中松)も34年のあいだ自分の食事を撮影し続けて功績で栄養学賞を受賞している。

ここまで日本人受賞者が多いのは審査員に日本人がいるのか、相当日本好きの外国人がいるのか。ともかく、日本を代表する(?)ignobleな発明者ドクター中松にはとらせておこう的な力学が働いたことは間違いなさそうだ。

 

傾向と対策

■受賞のための公式基準

イグ・ノーベル賞は、「人を笑わせ、そして考えさせた」研究、「真似ができない/するべきではない」業績に対して与えられる。

公式基準は上記のとおりだ。

著者は「日常の素朴な疑問」を真面目に研究するとイグ・ノーベル賞がとれるのではないかという傾向を述べている。対策としては、「素朴な疑問手帳」をつくって日々思いついたネタをお笑い芸人のようにメモする。そして忘れてはいけないのが、すでに他の人が調べたものかどうかネットで検索すること。これは研究者なら当然の行動だが、研究畑ではない人は注意してほしいステップだ。

下ネタ狙いも有効な作戦だ。過去の受賞研究には下ネタが多い。

 

申請方法

1. ノミネートは自薦も他薦も可

2. 候補者とその業績の詳しいレポートを

3. 選考委員からの問い合わせができるようにする

申請先はこちら。

Mailing address: Improbable Research, PO Box 380853, Cambridge, MA 02238, USA

Telephone: (+1) 617-491-4437

Email us at: <press-info AT improbable.com>

賞の知名度は年々上がってきているので、もし受賞したら最高のセルフブランディングになる。「試してみた」系のブロガー諸氏は、真剣に応募を考えてみてはどうだろうか?