宝田明さん、戦争体験を語る
憲法記念日の3日、福岡市中央区で「憲法記念日のつどい」(九条の会福岡県連絡会主催)が開かれ、俳優の宝田明さん(82)が約800人を前に自らの戦争体験を語った。宝田さんは「信念として、今行動しなければいけない責任と義務がある」と述べ、憲法の大切さを訴えた。
父親が国策会社の南満州鉄道(満鉄)の社員だったという宝田さんは、旧満州(現中国東北部)で終戦を迎え、翌年の1946年に博多港に引き揚げた。
終戦後、シベリアに送られる関東軍の中に兄を捜しに行き、ソ連兵に撃たれて大けがをした経験なども明かした宝田さん。「(ソ連という)国全体を否定してしまい、今も認めることができない。日本も中国で多くの無辜(むこ)の民を手にかけた。戦争は、憎悪しか生まないものだ」と述べた。
憲法に対する安倍政権の姿勢についても言及し、「分厚い木のたるで原酒を漬けるように熟成させてきた憲法を、国民の信を問わずにタガを外してしまった」と強く批判した。【林由紀子】