急増する「母子心中」
安定した職に就けず、さらに行政からも支援が受けられない女性の選択肢のひとつが、風俗だ。最近では「女子寮完備」や「入店すれば支度金30万円支給」などの”特典”をうたう「人妻系風俗店」が増えている。実際に寮はあるものの、相当古いアパートだったり、売り上げの中から「寮費」として一定額を引かれるケースがほとんど。
また、勤務内容がハードな割には実入りが少なく、「一日3人客をとって、ようやく人並みに暮らせる程度の収入」(勤務経験のある30代女性)だという。しかし、住むところさえない女性のなかには、風俗での仕事が「最後の砦(とりで)」となっている人がいるのも事実だ。
そういった店でも働けない女性は、最悪の場合、「死」を選択することもある。
近年、生活に行き詰まり、母子ともに餓死したり、母親が子供を手にかけてしまうという事件が多発している。「反貧困ネットワーク埼玉」の藤田孝典氏が説明する。
「貧困に苦しむシングルマザーは、精神疾患になってしまうケースが多い。子供に『おなかいっぱいご飯が食べたい』『なんでうちは貧乏なのか』などと泣かれて、精神的に追いつめられてしまうんです。私のところにも、泣きながら『子供に暴力を振るってしまった』『一家心中を考えている』と相談に来る方がいる。一歩間違えば事件につながるのではないかと感じることは、少なくありません」
昨年9月、千葉県銚子市では痛ましい事件が起こった。県営住宅の一室で、43歳の母親が13歳の娘を絞殺したのだ。背景には極度の貧困があった。
母親は、隣の市の給食センターで臨時職員として働き、娘の可純さんを育てていた。手取りは月7万円ほどで、家賃1万2800円の県営住宅に住んでいたが、’12年頃から滞納するようになり、千葉県が部屋の明け渡しを要求していた。
「母親が娘を殺したのは、県が部屋の明け渡しの強制執行を行う日の朝でした。母親は警察の調べに『住むところがないと、生きていけなくなる。生活苦から娘を殺して自分も死のうと思った』と供述しています」(地元紙記者)
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